ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

海獣の子供、米津玄師のMVを解釈する。ネタバレなし。

 

 

 


米津玄師 MV「海の幽霊」

 

ネタバレなしで映画を楽しみたい人用にも書く。

ほかの記事は漫画のネタバレ全部ありの解釈なので注意。

 

さて、主題歌「海の幽霊」のMVはまじでたまげた。魂消た。超周回してる。

 

ほんとにシリウス星人が地球人のアセンションのために創りました、とか言われても信じるレベルww

 

たった4分の動画のなかに、さまざまな仕掛けがある。

 

サー、トンという心臓の鼓動の拍、波の音のような拍と、水中のようなくぐもったエフェクトで、

海の中で自分の鼓動を聞くような、胎内で母の鼓動を聞くような感じの両方が表現されている。

海の物語、誕生の物語に相応しい音づくりだと思う。

 

まず、このブログ初見でもある程度とっつきやすいように、脳の話からしようか。

 

脳は右脳と左脳に分かれて情報を処理してる。

 

右の脳がメロディや情感を司ってて、左の脳が言語や論理を司ってる。

 

歌、メロディと歌詞というのは脳の両方を使うタスクだ。

 

映像、視覚というのは人間の最大の情報入力だ。五感すべてのうちの7割だっけ。

 

脳、というものがどんな機構で、どんな使い方がそのスペックを最大に発揮できる使い方なのか、

そういうことを考える人はどれくらいいるかな。意識して訓練してる人は、その中の何割くらいだろうか。

自分はここんとこ、ずっとそんなことばっかり考えて試してるw

で、得られた経験、感覚としてなんだけど。

 

脳ってのは右と左、上と中と下、出入力のバランスを整えて、すべてを同期、シンクロさせて使う時、

 

最大のスペックを発揮する。そのときの処理の向上、受信感度は何倍とか以上、幾何数級的だ。

 

脳がそういう状態の時、感覚としては集中とリラックスが同時に訪れてて、とても静かだ。

空(くう)に、0に、無限に、混元に、愛に、そういう言葉で表現されるものをとても近くに感じる。

 

そこまで前置きしといて、このMVだ。

 

メロディと歌詞と、美しい映像が同時に流れ込んでくる。

 

サビのところでは特に映像の切り替わりが速い、ぱっぱっぱっと場面が変わっていく。見えないくらい一瞬のイメージもある。

 

注視したままこういうことをされると、脳は映像を理解しようとして処理を上げる。

 

どんどん切り替えを速くしていくと、顕在意識だけでは追いつかず、無意識の処理が開きはじめる。サブリミナルってやつだ。

 

そうやって徐々に準備運動をしていって、

 

2分くらいのところで、

ずっと美しいものだった映像が不穏なものになる。サー、トンの拍もなく間奏の曲調も低音だ。

赤黒い画面、不気味な魚がなにかに集って食らう、深海の生態系、命を感じない白さの古代のサメ。

ここで恐怖を喚起する、これも大事なステップだ。

恐怖、闘争、死、それは脳を上中下の3部位に分けた時の、下のほう、大脳基底核を刺激する。

土台、根がしっかりしてこそ、その上に複雑なものを乗せていける。

高く飛ぶためには、一度しゃがむ必要があるっていうか。

 

で、小石、隕石が海底に沈んでいく映像で、ついその石を追っていくような気持ちになる。

音楽も緩急がついててぐっと惹きこまれる感じだ。

その辺りの映像が一種の催眠導入だ。

 

そこから一気にブワッと「離れ離れでもときめくもの、叫ぶ今は幸せと」というサビのところ、

映像のスピード感もあがるなかで、何度も何度も回転する渦巻きのモチーフが出てくる。

 

少年が渦になる。水の渦右回転。赤い渦左回転。銀河の渦右回転。海中でも画面が回転してる。女の子も海中を周りながら遠ざかる。

 

回転する渦巻きってだけでも効くのに、青赤、左右の要素まである。

 

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対極図

対極図、これは陰陽の気が動いていくところを表した図だ。

 

陰陽の思想の言葉に「道は一を生じ、二は三を生じ、三は万物を生じる。万物は影を負い陽を抱き、冲気を以て和を為す。」っていうのがある。

 

冲気を以て和を為す、正反対のものの力が釣り合ったとき、止揚、正反合、和してひとつになる。

そしてその時、二つに分かれて再び一つになった時、なにかが起きている。

ただ元に戻るのではなく、0に同期して、次元が上昇する。シフトアップしている。

なにか、新しいものが生まれている。

 

回転、螺旋、渦巻き。それは混ぜ合わせる動きだ。対になるものを和することを促す。

赤青、左右、それが対になる原理の象徴だ。

 

海獣の子供、は誕生の物語なので、

赤い男性原理と青い女性原理が渦巻いて混交することで、新しいものが生まれる。

受精、受胎、創造の契機、法則になってるっていうか、そういう表現だ。

 

 これはとても普遍的な象徴なので、もっと、どんな意味でも見出せるけども。

 

脳がどう働いてるかって視点だと、

サブリミナル的な高速で、音楽と一緒に、

細部まで描きこまれた美しい映像で、

青赤左右の回転を交互に脳に叩き込む。

 

これはものすごい処理向上の訓練になる。意識して注視するほど効果あると思う。

 

で、過負荷集中のサビの場面が終わったら、

海中の少女が遠ざかっていくイメージと一緒に意識も浮上して、

また美しい映像で優しく軟着陸させてくれる。

 

映像の最後のほうは、冒頭と似たイメージが多くて、エンドレス周回に違和感のない仕様だwループになってる。

 

4分のMVの感想とは思えない長文になったけど、

まあそれ以上に内容の濃い、これは本物のアートだと思う。

瞑想の導入に使って捗ること間違いなし。ありがたい贈りものだ。

 

 

さて、怪獣の子供五十嵐大介を初見で見にいく人に話したいことは、

 

五十嵐大介の物語は、なんていうか感覚的だ。

物語の定型やセオリーを期待していくとがっかりすると思う。

 

少年と少女の恋物語でもないし、海洋冒険譚というわけでもないし、

海の生物とのハートフルな交流モノでもない。夏休みの子供の成長物語でもない。

伝奇、というのともちょっと違う。バトル展開もない。

レビューとかだと海洋ファンタジーと書いてあるけども。

まあ確かに・・・舞台がファンタジー というより、筋書きがファンタジーなんだな。

幻想的なイメージの連続っていうか。観ているとくらくらしてなんだか良く分からなくなってくる。

 

五十嵐大介の作風を知らないで行ったら、

 

映像はとにかく素晴らしかったけど、で、この作品は結局なんなの?ってなると思うww

 

ハウルの動く城と一緒だなww

 

カテゴライズがいまひとつ既存のものの中に無い。

 

自分の使う言葉で言うなら、神話的だと思う。人を内面へ導く、普遍性のある物語。

 

海獣の子供のジャンルは、創世神話だ。

 

そういうつもりで見に行くといいかもな、と思う。

 

創世神話っていうと、色々あるけども。

天空神ウラヌスのナニが海母神ポントスに落ちた泡から女神が生まれるっていう、

 

ポニョ君の名は、でも参照した有名な神話に似たやつが海獣の子供にもでてくる。

っていうか、怪獣の子供は、君の名は、とモチーフがとても良く似てる。流れ星が物語を読み解く鍵になる。

 

ポニョともモチーフが似てる。アンデルセンの人魚姫だ。

 

とにかく、怪獣の子供をみるときのコツは、考えるな、感じろ!

みたいなことに尽きるww感覚全開でただただ受け取りにいくといい。

 

シリウス星人のフィーリングが伝わるかもしれないww

 

あ、シリウス星人、鯨、とかでググるスピリチュアル界隈ではそういうことになってるらしい。

 

いわく、高次元の星シリウスは今は恒星だけど、かつては海の星で、そこに住む知性体は鯨のようであった。

その遺伝子を地球に持ち込んだものが鯨であり、シリウス星人は人間にも転生してるけど、やっぱり海や鯨が好きで、とてもとても賢い人達である。とか。

 

こないだ動画で見たサーファー物理学者のギャレット・リージがそんな感じする人だなとww


宇宙の8次元モデル

 

 

ま、それはそれとして、

海獣の子供でも、鯨という生物のスケールは地球を超えてる。宇宙レベルだ。その描写、今から圧巻の予感しかない。楽しみ。

 

あ、イメージイラストも螺旋、渦巻きでできてるな。空君が下降、海君が上昇、で琉花が真ん中ね。ほほう。

 

「海獣の子供」オリジナル・サウンドトラック

 

 

inspiration.hateblo.jp

 

 

 

君の名は。

君の名は。