結局、海の幽霊とはなんだったのか。
光って消える白斑の魚、同様に白斑があらわれる海から来た少年たちは、なんだったのか。
ものすごくミもフタもロマンもなくまとめてしまえば、
光るのは排卵、成熟して受精可能っていう信号や合図で、消えるのは老廃物扱いで体外排出っていう。
誕生祭に海少年と同じ状態になってる海獣や魚がいることから、
隕石はあのすごく明るい流れ星以外にもたくさんあったってことか。ありふれたコンドライトだろうって話だったし。
受精卵になることに成功した白斑のいきもの達が集合してるってことかな。
そしてその一斉に生まれるものを食べに来るいきもの達で、あの大集合の誕生祭になる。
珊瑚の産卵と似てるとデデが言ってたし。
隕石については後述。
働く細胞ってアニメがあったけど、
人体の中には種々様々な細胞たちの織りなす世界があって、恒常性、動的平衡をたもつひとつの機構、総体になってる。
で、地球っていうのも、人に骨があるように大地や山があって、その上を種々様々な生物が細胞のように行き交っていて、血液がめぐるように、雨や川や海で水がめぐっていて、恒常性、動的平衡をたもつひとつの機構、総体になってる。
極大と極小は相似する、そういう考え方だ。フラクタルだ。
細胞という総体のなかにも様々な機構が詰まっていて、恒常性を保つ構造があって、
太陽系、銀河系、天の川、そういうものも星々を構成要素にひとつの総体として成り立っている。
そのすべての動的平衡を保つ総体で、おそらくは共通、相似するサイクルがある。
生成発展し、崩壊し回帰する。
陽を抱き、陰を背負う。
リビドー(生への希求)とデストルドー(死への希求)を併せ持つ。
その二つが拮抗し和したとき、新しいものが生まれる。
プラスとマイナスの和が0になる。
そのとき0、無限、混沌、空(くう)から、創造を引き出すことができる。
きっとそれは、この有限の世界を構成する最も基本的な原理、法則だ。
この辺は、このブログでずっと書き続けていく主題だと思ってるので、
とりあえずそんなもんかー、で流し読んでオッケーだ。
何度でも繰り返し、色んなアプローチで説明していく。
で、
アングラードが人間は地球にとって内臓のようだと直感するけど、
そのなかでも白斑のものは生殖関係の臓器や細胞に相当するっていうか。
女性には300個ほどの卵細胞が備わってて、
でも実際に子になって生まれることができる細胞はほんの数個だ。
白斑の魚たち、少年たちも、生まれたいという気持ちに似た希求、指向性、本能があるだろうけど、ほとんどは選ばれない。そういうものだ。
動物の受精では、ひとつの卵子に幾億の精子が受精めざして早い者勝ちの競争をするけど、
隕石を拾いにいった沢山の少年たちはそれだな。ひとつの隕石を獲りあう競争だ。
隕石が緒なのか卵なのか、そこは男女のイメージが反転してるようでもあり、
でもそもそも卵細胞の役は女性のものであるところを、少年にしてるわけだからな。
反転の反転で正位置だ。ややこしいww
空少年は、優れた陽の気質、男性、攻撃、能動の性質を発揮してその競争に勝利して
隕石を得るけど、受精卵となる権利は海に譲る。
空と海、の対比からみても、空少年より海少年のほうが、
うまくいくのは間違いないからな・・・。
陰陽にわかれ、兄弟で役割分担、チームプレイをすることで、
並み居るライバル達のなかから抜きんでて、隕石と結合し、
新しいものに生まれていくことを勝ち取った、ともいえる。
そういえば、アングラードが「君の中になにがあるのか見せてよ」と、幼い海少年と海に入ったとき、
アングラードが直感した海少年の本質、イメージは、乳房のある成人女性だったな。さもありなん。
空少年には全部わかってたんだろうな。
うーん。そういうところホントなんていうか人間離れしてる。
人間のスケールで考えたり動いたりしてないんだよな、葛藤が見えない、やるべきことを知ってるから、そのとおりにするだけ。みたいな。
死がないこと、記憶の連続性がそうさせるのかな。
空少年は、退場するべくして退場する。
男性性の象徴の彼は、同じく男性原理に属するもの、ジムや、陸の人間、科学、そういうアプローチに期待する。
でも、やっぱり産屋のなかのできごと、誕生の秘義、誕生祭は、古来よりの在り方に則って行われる。
居合わせることができるのは、女達だけだ。
ん?っていうかじゃあ、空少年は人間に具体的にはなにを期待してたんだろ?
それは総体のスケール、宿命への抵抗だよな。個の生を望む自由意志、葛藤、足掻き、人間味だ。
海少年を救う方法とか、
白斑化をとめて、生き残る方法とかかな・・・。
ああ、次作、ディザインズのテーマからするとつまり、生命創造の神秘そのものの解明、とかになるのか。
HA、ヒューマノイズドアニマル、動物の人化計画。
カエルの足をもつ少女、女の頭をもつ豹、象の頭をもつ子供、足のない豚、衝撃の絵面が次々でてくる。
猫耳とかよくある萌えな獣人ではなく、禁忌の雰囲気がある描写だ。
パソコンで作った遺伝子の設計図をもとに生命を創造するという、科学の求める先にあるもの。
ディザインズの天才マッドサイエンティスト、オクダのような人を空少年は探してたんだろうな。
うん、確かにオクダの突き抜けたサイコっぷりからすると、その期待はジムには荷が重いねww
オクダが絡んだら、怪獣の子供はとても5巻じゃ終わらないややこしい大作になってしまうww
海も空も、オクダに改造人間にされてしまう、いや人間に改造されてしまうww
気の毒だけど、ジムも男性原理も科学も後半はお役御免というのがテーマどおりだ。
空少年は、ずっと延命の可能性も模索しつつ、間に合わないと悟って、宿命通り誕生の権利を勝ち取る方針に切り替えた。
海獣の子供では、誕生の秘義は、女たちの秘密だ。
・・・で、次作でどうなる五十嵐大介ww
「本当の秘密は、ずっと秘密のまま」
の秘密のヴェールを、じゃあ、どこまで剥がせるかっていう、
そういうことをやりはじめたらしいぞ・・・。