赤毛の魔女の話を書いてて思いついたので。
ポニョでは、赤毛と黒髪という対比ヒロインはポニョとくみこちゃんだ。
で、宮崎駿作品では、ほぼ初の出来事なんだけど、赤毛ヒロインとボーイフレンドのカップルが成立する。
ナウシカとアスベル以来だ。
しかしナウシカとアスベルは、実はやや対としてはバランスが悪い。ナウシカが完璧すぎるからだ。
慈悲と破壊の混沌、王のカリスマであり、戦士であり、研究者であり、聖母であるナウシカは、できないことがないからな・・・。
漫画版だとアスベルは後半出番がなくなって、セルムが出てきて、アスベルとケチャが相思相愛になってしまう。
ポニョとそうすけはそういう意味でバランスがいい。
で、そうなると黒髪ヒロインが相方がいなくてあぶれちゃう。それも初の出来事だ。
ええ・・・、くみこちゃんかわいそうじゃね。
不遇でいいように性格悪い設定にされてんのかな?
いやまて。宮崎駿が5歳の幼女にそんな仕打ちをするだろうか?宮崎駿だぞ・・・。
そうだ、タロットだ。
女教皇と隠者、幼女と老人は表裏一体で、
くみこちゃんとトキさんは良く似た水色のワンピースを着てる。
舞台裏では同一の存在であるとして、彼女たちとそうすけの関係性を見てみると、
くみこちゃんは服を見てとか、バケツの中を見せてとか、船に乗せて、とか、
もう明らかにそうすけにアプローチしてる。
トキさんも積極的に話しかけてくるし、そうすけのことは好きだ、素直ではないけど。
しかし「持ってきちゃダメなんだよ」とか「変なの、デブだし家の金魚のほうがかわいい」とか、
「嫌だ、人面魚じゃないか」とか「バッタみたいに見えるけどね」とか、
彼女たちは、そうすけが好きなんだけど、そうすけの心を感じることができない。
規則や常識を押しつけるとか、
大事にしてるものを否定するとか、
贈り物や表現を否定するとか、
レインボーチルドレンは繊細なので、そういうことで傷つき、心を閉ざしていく。
まあ、そういうことをされたら誰だって傷つくだろうけど、
優し過ぎる彼らは、傷つけられたからといって反撃することなど思いもよらない。
「ブキミ男、なーんて言っちゃダメよ」「ぼく、言わないよ。」だ。そういう言葉を思いつかない。ほんとに。
だから代わりに、ポニョが彼女たちに水をかけて反撃をする。水色の服を台無しにする。
戦う、闘争する、ということは、次元の意識の低いものが持てる能力だ。三、四次元くらい。
共感能力が高すぎると、相手を傷つけることは自分を傷つけることと同義になる。五次元以上だ。
意識の次元と、能力の次元は釣り合ってないといけない、というのは面白いトピックなのでまた今度記事にする。
モブサイコ100、まどかマギガ、血界戦線とか、そのへんを引っ張ってきて書くけど、
もともとは小さな宇宙人アミで読んだことだ。
宇宙人は映画ではインベーダー、侵略者で悪いヤツなんだ、という地球の少年に、
子ども型宇宙人アミは「侵略とか奪うみたいな発想をもったまま、他の星に行けるほど科学技術が発達したなら、まずは自分の星で終末戦争をおこして滅んでしまうよ。」みたいなことを言う。考えれば考えるほど、これはそういうことになるだろうと思えてくる。
まあ、だからと言って彼らが人類にとって友好的は限らないという微妙なレトリックがあるけど。
ま、とにかく、
この次元の世界ではあまりに優し過ぎるそうすけを、闘争が可能な意識レベルのポニョが守る。
カップルとして、そういうバランスの良さがある。
で、くみこちゃんは「そうすけ私も船に乗せて」という場面が最後の登場で、
そうすけは「今忙しいから、後でね」だ。
ここだけ見るとフラれているに等しいが、しかしくみこちゃんはトキさんでもある。
審判の場面、フジモトとトキさんのどちらを信じるかの場面で、そうすけはトキさんに向かって走る。
トキさんは、そうすけをしっかり抱きとめる。そこに実はくみこちゃんもいるわけだ。
そこで黒髪ヒロイン、水色の服のヒロインも、なにがしかが成就してる。
「後でね」の約束が守られている。彼女たちも船に乗せる、新しい世界へ一緒に行く。
と、そういうことかな。
くみこちゃんとトキさんは、セットで三次元とかお魚の意識のレベルの、現行の人類という役割だ。
意識のレベルがぶっちぎりで高いレインボーチルドレンは、ある意味で異種族なんだろうな。
だから黒髪ヒロインではカップルになれない。同族ではないからだ。
異なるものを受け入れる力をもった赤毛ヒロインでないと、そうすけを理解できない。
そうすけが人間に見せかけて、実はニュータイプ、新種、新人類であるところがミソなわけだ。
しかしタロットとスピリチュアルと赤毛黒髪設定、全部わかってないとこれは読み解けないぞ・・・。
その辺はもう他者から見て意味不明でもいいという思いきりがあるんだろうな。
宮崎駿自身のなかでは確信をもって描けてるんだろうから、謎の説得力はあるw
もちろんすべて自分の妄想やこじつけという可能性もあるw
だから考察や解説ではなく、感想とか解釈という言葉を使ってます。
あと小ネタなんだけど、
冒頭のフジモトがイカにライトの点滅でサインを送るとこがあるけど、
イカの目玉が人間並みにすごく高性能で、でもイカの脳はすごく原始的で単純で、見たものを処理できるはずがない、あまりにアンバランスだ、というところから、
イカはもっと大きなものに情報を送る端末なんだという有名なSF小話がある。
イカはきっとグランマンマーレとの通信の手段なんだろうね。メッセンジャーなんだ。
イカは、なぜそんなにも目がいいのか。
イカは体色を変えたりチカチカ光って信号を発して同族と意思疎通している。
なぜ視覚と光のコミュニケーションを発達させたのか。
光は海中、水中では速やかに減衰する。音の方が理に適うと思ってたんだけど。
それは捕食者、強者の発想だったわ。
クジラやイルカと同じ音というツールを、美味しいイカちゃんが使ったら即察知されて食べられてしまう。
強者と競合しない、という生存戦略がある。
毒があるユーカリの葉をあえて食べるコアラ、 難消化性の笹の葉をあえて食べるパンダ、 海中で、あえて光と視覚を使えば、そんな非効率なことは他の生き物はしてないわけで。その非効率な独自性そのものが生存戦略として成立する。 ってことかなと思った。
逆にイカは聴覚はほとんどなくて、マッコウクジラのソナーを感知できないって話も夏休みクジラスペシャル番組で見た。
観測上では200デシベル越えることもある音のデカさで、ジェットエンジンよりうるさいらしいけど、低周波だから人間も可聴域の外だ。まあ聞こえなくても振動ダメージがあるかもな、小魚とかはシぬらしいし。
天地創造デザイン部でそういうクジラVSイカの相互進化合戦が面白く描かれてるところがあったなそういや。