ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

ものがたりを解釈する。セーラムーン・ドラゴンボール・ワンピース

DRAGON BALL モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

今日は有名どころの話題をちょいちょいつまんでいく。 

 

美少女戦士セーラームーンR

 

セーラームーンRが無料配信中だ。

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自分的にはアニメオリジナルのエイルとアン編がお気に入りなんだけど、

武内直子原作のダークキングダム編とブラックムーン編が、うまいこと対になってるというか、反転してる構造になっているのに気がついた。

 

ダークキングダム編では、

超過去の因縁、前世の使命が現在によみがえってくる筋書きだ。

敵はクイン・ベリル、地下のトンネルがアジトに続いていた。

主人公の母、クインセレニティがキーパーソンになる。

 

ブラックムーン編では、来世かどうかはよくわからないが、

超未来から現在を脅かそうと敵が襲来してくる。

敵はプリンス・デマンド、UFO、空中要塞が描かれる。

主人公の娘、スモールレディがキーパーソンになる。

 

なんでも象徴や陰陽によりわけて考えてみるのが自分流の解釈のコツだが、

 

過去、地下、女性、これらは陰で、

未来、上空、男性、これらは陽だ。

 

現在、地上、主人公を中心に、両翼に展開する物語になってたんだな~と思った。

よく出来ている。

祖先と子孫となると、祖先が陽で子孫が陰のような気もするけど、まあそれはよし。

陰中の陽、陽中の陰ってこともあるしな。太極図の中の小さい丸だ。

 

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さてそれで、このところよく引用するエニアグラムのブログで、

仲間を集めていくことで、楽天的なJC月野うさぎがプリンセスセレニティとしての優雅なカリスマを得ていくことができる、という考察があったんだけど、

https://gunber.hatenablog.com/entry/back_usagi

これは少年誌で育った脳からすると、少し不思議な発想でもある。

 

仲間が加わったら、それで自分の力が増すってなんだろう?

自分の力というものは、自分を鍛えることで増していくものなのではないか?

 

っていう疑問がちらっと頭をかすめる。

これは男性的な発想だ。積み上げ発想、修行脳っていうか。分析、論理、左脳的。

 

最近のなろう系小説で、ティアムーン帝国物語っていうのがあって、随所にセラムンに影響を受けてる感があるんだけど、

この話ではセラムンよりもっと顕著に、主人公自身は無力なまま変わることなく、集めた仲間のバラエティによって事態が解決していく。

ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~@COMIC1 (コロナ・コミックス)

https://ncode.syosetu.com/n8920ex/

人脈、コネクションの力、というものに焦点が絞られた、ピーキーな面白さがある。

 

ティアムーンの極端な話作りで気がついたけど、

コネクションの力はそのまま自分の力であるっていう発想があって、

それはどちらかというと女性的な発想だ。繋がり発想、融和脳っていうか。同一視、共感、右脳的。

 

セーラームーンには、修行パートというものがなくて、新しい変身アイテムとかちょっとした感情のきっかけでパワーアップするけど、

小女誌的には、それでなんの疑問もないんだな。

それまでに仲間を集めていく過程、人と人との繋がりが広がって深まっていく過程があって、それがそのまま自分の力が増していく感覚になっているんだろう。

 

自分がどっぷり読んでいた少年誌の漫画では、より強くなるためには修行パートというものがあるのが絶対のお約束だった。

幽遊白書ジョジョ、ダイ大、うしとら、GS美神スプリガン・・・etc

師匠や先生に教わって、特殊な環境で負荷をかけて肉体を鍛えたり、集中力を養ったりする。

それがある臨界に達したとき、新しい技、新しい認識をゲットできるものなのだ。

 

そういう少年誌的発想の代表としては、やっぱりドラゴンボールだろうなーと思う。

主人公の悟空は、修行によってどこまでも限りなく強くなっていく。

 

最初の師は亀仙人、そしてカリン様、神様、界王様、界王神と、師のレベルが上がっていく。

亀仙人は島に住んでて、カリン様は塔の天辺に住んでて、神様は空の上に住んでて、界王さまはあの世に住んでる。界王神はもっと高い次元とか?で、

師のステージがより高く、天空方向へ上昇していく。

 

天下一武道会舞空術が登場してからは空中戦がデフォになる。

サイヤ人がやってきて、宇宙船が登場して、宇宙へ飛び出す。

その次は、未来から子孫と敵がやってくる。

 

空、宇宙、未来、バトルステージも常に陽属性の方向へ展開していくのだ。

 

ドラゴンボールにも共に戦う仲間はいるけど、

クリリンヤムチャ天津飯、ピッコロ、ベジータ

彼らは全員、最初はライバルや敵として登場したキャラクターだ。

各々、自分こそが最強であることを目指して研鑽しているタイプで、

役割分担とか得意分野とかチームワークとか、意外とそういうものに乏しい。

武力担当でないサポートキャラとして仲間になったのは最初期のブルマ、ウーロンくらいだ。

 

強大な敵を前に共闘することはあるけど、基本的に、

全員がトップを目指す競争相手、好敵手、ライバルであることが特徴的だと思う。

 

どこまでも上へ上へと上昇するしかなくて、戦闘力がインフレしていくのを止められない物語でもあるw

 

だいたい惑星を破壊できるほどのパワーを得たら、それは個には過ぎた力というもので、少しは葛藤が生まれるだろうに、悟空は実にあっけらかんとしたものだ。

 

「つええ奴と戦いてえ」「オラわくわくすっぞ」

シンプルそのものの動機のままに、どこまでも恐れず強さを欲する。

明朗快活、純真、真性の陽キャ

心に闇がない。いや、なさ過ぎるww人間味がないと言われかねないレベルだww

 

幽遊白書なんかだと魔界、地下方向に物語が進行するので、それが精神面にも出る。

戦闘力を得過ぎた幽助には疎外感や葛藤が生じる。

ウジウジを拗らせるクソガキを玄海師範はこういう名言で導いてくれる。

「人は気分次第で壊せるものを持っている。

おもちゃだったりペットだったり恋人だったり家庭だったり、国だったりする。

お前はそれが人よりデカい。それだけだ。

壊したくなったらその前にここに来な、まずあたしの命をくれてやる。」

こんな師範がいたらグレられないよなぁ…。師範惚れるわ。

 

いやほんと、考えてみたら、気分次第で何もかも壊せてしまうほど強いって、怖いと思うよ。

大事なものをうっかり壊してしまわように、気軽に怒ることも嘆くこともできなくなっていくんじゃないかな。

 

悟空は、そんな湿っぽいかったるいことは考えもしないから強くなれる。

まずそのメンタルモデルが神話級だな。孫悟空、斉天大聖、ハヌマーンの名に恥じぬ内面と言えようw

 

鳥山明魔人ブウ編で原作を締めたけど、

今もアニメではギャラクシーバトル、異次元バトルみたいな感じで続編がつくられている。

 

鳥山明の感性は、極端に陽的で、男性性に偏って突き抜けたものだったんだな~と思った。

ただ、魔人ブウの、人をお菓子に変えちゃう魔法とかはちょっと方向性が違ってる。

魔法、陰的なものにシフトしていくこともできた可能性があるけど、それまでのバトル展開方向とは相性が良くなかったのか。

時代のニーズ、読者のニーズに応えるのが当時の漫画家のお仕事っていうか、

一度ウケたことを何度でも繰り返しやらなくちゃいけないっていうのも、ツライことなのかもな。

シリアスバトルより、子どもみたいな無邪気で突拍子もない発想があるところが自分は好きだった。

 

で、

 

仲間を集めて進むのか、自分自身を鍛えて進むのか、

 

という陰陽の二択の命題があると考えついて、

自分自身がどこまでも強さを得ていくのがドラゴンボールだったんだけど、

仲間を集めて強くなる、の代表格もジャンプの看板漫画にあったと気がついて驚いている。

ワンピースだ。

 

まずワンピースは海賊の物語、海の物語だ。

象徴でいうなら地下も太母だが、海も太母だ。母なる海。

 

ルフィは初めから専門職の仲間を募る。

集まった仲間は剣士、コック、航海士、狙撃手、医者、船大工、考古学者、音楽家、だったっけ。

 

ドラゴンボールの仲間は、全員のジョブが戦士オンリーだったわけだが、

ワンピースの仲間は、各分野のエキスパートたちだ。ついでに腕っぷしも立つんだけどねw

 

船長のルフィは、

「おれは、剣術を使えねぇんだ、航海術も持ってねぇ、料理もつくれねぇし、

おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!!」ゴーン。

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と宣言する。ティアムーンの主人公もこれなんだよな。周りの有能メンツがうまいことやってくれるのに任せて自分はイエスマンでいたいと言うんだ。

リーダー、船長、ルフィ自身に必要なのは技能ではなく器量だ。方針を決定する意志、みんなをまとめられるカリスマだ。

 

ドラゴンボールは、結局のところ悟空ひとりが最後に立つ勝者であれば、それでどうにかなる話なんだけど、

ワンピースはそうじゃない、全員の技能が噛み合ってこそ海賊一味として機能する構想になっている。一応。

 

ドラゴンボールには各編に修行パートが入るけど、

ワンピースはほとんど修行の描写がない。いきなり二年後になってパワーアップが済んだことになっている。

 

ドラゴンボールは天空方向へ物語が進行するが、

ワンピースは洋上、水平方向に物語が進行する。

途中、空島とか海中とかあるけどね。

惑星の丸みに沿って、やや下降しつつ進んでると言ってもいいかもしれない。

 

ドラゴンボールは未来と繋がって来訪者が来るけど、

ワンピースは、過去の因縁を回想するパートが毎回入ってそれがまたやたら長い。

あと、考古学者がメンバーにいるけど、過去の遺物、古代兵器が重要な伏線らしい。

 

陰か、陽か。地底や海か空か、女か男か。

仲間か、自分か、

繋がるか、積み上げるか、

並列か、直列か、

下降か、上昇か、

過去か、未来か。

 

意外と要素にしてみると、ワンピースって陰属性方向ばっかりに進む物語だったんだよな。

これは女性的な感性と言っていいと思うぞ・・・。

セーラームーンやティアムーンと同じ構造なのに、

それが少年誌の看板を何十年もやってるということに気がついて、今日、とても驚いている。

 

まあ、ある視点からするとそう見えたってだけで、これはひとつの解釈だ。

各作品の魅力はもちろんそれだけじゃないと思うので、その辺は今後の課題ということにさせてください。

 

っていうか、仲間集めと修行パートの両方があってバランスがいい物語のほうが多いと思うんだよな。普通はそうするじゃん。

でもモンスタータイトルになる漫画はそこが極端とかアンバランスだったいうのが面白いというか。

天才とナントカの紙一重みたいなもんなのかねえ?

 

週末の飲み会で語りたいような他愛ない雑談でしたww

 

 

 

 

 

それはそれとして、このご時世、

女性的とか男性的とか言ってるとどこからともなくポリコレ警察があらわれて袋叩きにされかねないので予防線を張っておこう。

ジェンダーで引っかかって内容が入ってこない人は、女性的→右脳的、男性的→左脳的に読み換えて下さい、それで意味は通じます。

ヒトの脳が、右脳と左脳を合わせてひとつの器として成立しているように、

女性性と男性性は人間性の両翼です。

ひとりの人間の内面でも、各々のバランスで双方を備えている。

翼は左右を合わせて羽ばたくことで、初めて飛翔できる。

陰陽や+-は性質であって優劣ではない。

海と空のどちらが優れているかなんて、ナンセンスな問いというものだ。そうでしょ?

 

 

 

ティアムーン帝国物語は、名前考え中さんのオススメでした。いつもありがとうございます。

 

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