ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

水星の魔女。絶対運命代理戦争学園。

機動戦士ガンダム 水星の魔女 vol.1(特装限定版) [Blu-ray]

 

遅れ馳せながら水星の魔女見た。

なにこのOP詐欺アニメ・・・。

自立への希望に満ちた歌詞からの、

暴力イジメ洗脳トマトの怒涛のネガティブ流し込みでメンタルがデータストーム。

ていうか、もしかすると最終話付近まで洗脳を引っ張り、スレッタがミオリネを背後から刺す展開さえありえるなこれ。理由は後述。

 

12話かけて、かなり丁寧にドン底展開にしてきたな~・・・。

ワンクール全体が溜め回とかマジかあ。

 

昨今はツカミが大事というか、

冒頭にクライマックスシーンをどどーんと提示して惹きつけてから、

序章を語りはじめるようなストーリーテリングに慣れてたから、

このストレス展開、かえって新鮮というか昔懐かしいというか。

 

自分的に最もストレスだった点は、

子どもを道具にする親、子どもを戦争にけしかける大人、っていう構図だったな。

それアニメとかで一番見たくないのよ。鬼滅のお館様とかもめっちゃストレス。

 

だいたい、子ども向けアニメや児童文学などの典型として、

主人公の少年少女は親の気配が希薄というか、早逝してたり海外出張してたり再婚してたり、色んな事情で不在なことが多い。

それは少年少女が自立する通過儀礼、命がけの冒険の旅に出るのに、

親の庇護や安全基地があったら邪魔だからね。

子ども「敵を倒す冒険に出るぞ」パパママ「夕飯までに帰ってきなさいね」じゃお話にならないというもの。

 

水星の魔女も最初、主人公スレッタが親元を離れて全寮制の巨大高専学園に編入するという導入で、

よくある学園もののような雰囲気なんだけど。

 

まあ、決闘制度とか、決闘委員会とか、

学園モノあるあるとして生徒会的なものの権力がやたらに強くて教師陣が空気っていうのは脳死で理解っていうか、

めっちゃウテナだこれと思いつつ。

学園で決闘で花嫁を奪い合う百合、それは少女革命ウテナ

 

 

いや、閑話休題

で、しかしそのモビルスーツ搭乗の上での学生どうしの決闘がネットで公開され、

それがMS開発軍需企業間での試作品展示会とか、

プロモーションかデモンストレーションみたいな様相を呈していたことには驚いた。新しい。

その後の、ミオリネがブチかました起業プレゼン大会とかも高専プロコンみたいでその辺は大変にイマドキで新鮮だった。

 

学園という、少年少女だけ集められて閉じているはずの世界が大人の盤上となり、

学生たちは有用か無能か、企業の論理によって常に品定めされている。

 

ものすごく強く大人の影響下にある学園の世界観、これはあまり見ない設定だ。

 

その環境では子どもは、子ども達の世界で子ども同士の関係を築くことができず、

スポンサーである親の意向を汲んで、親達のパワーバランスの代理戦争を行うことを要求されている。

 

なんて窮屈な学校なんだ。学校の意味がない。モラトリアムが無い。

家庭と違う世界があると学ぶために学校に行くはずのところ、

学校が家の延長線上で、子どもが一族の尖兵扱い。

 

これは歪むわ。ストレスやばいわ。

常に親の監視に晒されて、子どもは家にも学校にも放課後にも、どこにも逃げ場がない。

 

ヒロインのミオリネのトマト畑を荒らす高圧的なグエルや、

その後決闘に敗れたグエルが寮から追い出されてイジメにあう場面、

アーシアン(地球出身)とスペーシアン(惑星系出身)のギスギスして差別的な空気。

 

学園が陰湿な暴力の温床になってる描写に納得しかなかった。そらそうなるだろうよ。

 

そういう環境にいる子どもがどうなるかっていうと、つまりエラン4号くんみたいなことになるんだね。

親の顔色が世界の全て、親の愛を求め、親の期待に応え続け、自我の発育を抑圧し、それでは能力も伸びず、親の期待に応えられなくなり、廃棄。

 

エラン4号くんは、誰かの顔を模したイミテーションとして扱われ、人格や尊厳を無視され利用されているという意味で、スレッタと同じ境遇の人物。

彼の末路はスレッタがこのままだと辿ってしまうバッドエンドの暗喩でもある。

 

スレッタは、運命の双子ともいえた4号くんの不在にいつか気がついてくれるだろうか。

気がつけた時が、「お母さんに教わらなかったんですか」っていう刷り込みから脱却する時なんだろうけど。

 

水星の魔女は、親と子の確執の構図が豊富で面白いね。

スレッタと母、ミオリネと父、グエルと父。

 

スレッタの母プロスペラはびっくりするほど毒な親。

娘に入念に洗脳している、というかあえて人格を未熟なままであるよう抑圧している。

疑問を誤魔化し自分で考えることをさせない、愛情を盾に都合のいいほうに丸め込んで誘導する。怖い。

ただ、プロローグでは4歳の娘エリクトを抑圧する様子はなかったし、

エアリアルガンダム)と交信するとき4歳児くらいのシルエットがあらわれてるから、

これはエリクトの人格がエアリアルに吸収される事故があった可能性があるな。

で、17歳にしては挙動さえ幼いスレッタは一度人格や記憶が漂白されたエリクトなのか。

それともスレッタはエリクトのクローンか何かなのか。

デニングの老け感からは13年以上の時間経過を感じなくもないし。

プロスペラは愛娘エリクトのデータストームを人形スレッタに再度刷り込むつもりなのか。

その時、スレッタの人格はどうなってしまうのか。

上書きで消去されたらどーすんの?

二つの自我が衝突するかもしれんくね?

その場合、スレッタの方が母の誘導で消せるように調教されてるよな…。

 

プロスペラにとって、スレッタはあくまで娘の肉体、ハードであって、

娘と想ってる精神や記憶や人格、ソフトはエアリアルの中のエリクトなのではと思わせる。

 

そこがきっと、スレッタが母を疑い、反抗期を迎えるきっかけになるのではないか。

「お母さん、私の心は、スレッタは要らないの?」っていう。

 

でもまあ、スレッタ一人であの母を疑うのは無理だ。

条件愛に晒され続け、母の愛を失えば世界が終わるってくらい依存が深い。まだ引き剥がせない。

母の承認が無くとも、今の自分を愛し認められる支えが、

ミオリネかグエルか、親との確執を抱え、それを越えたキャラ達の助けが必要になるとは思う。

 

思うけど、ミオリネもグエルもメンタル大丈夫か・・・

ってなる地獄のような12話の展開ではあった。彼らの精神の立て直しが先だな。

2期きてもスレッタはしばらくあのままか~・・・。

洗脳幼児退行状態とでもいうような。エリクトみたいな無邪気な残虐だったな。

 

ともかくはよ2期。

それまで祝福を聞いていよう。

このPVはどう見てもスレッタが母の呪縛から自立する物語の示唆だよなあ。

エアリアルからスレッタに語りかけてるみたいな歌詞で、

4歳のエリクトが消えて、草生したエアリアルを背にして、スレッタが前に歩き出して。

過去と決別し、自分の人生を背負って歩いていける表情になってる。

緑に覆われた地球、ミオリネが行きたい地球で。

 


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一人モチを食う空気読めない幼さを強調される狸娘。ミオリネとの身長差もウテナみあるわあ。

 

 

体癖も意識しつつ見ていたが、

体癖はエニアグラムのような人間同士の関係性を見れるメソッドじゃないからな。

こういう人間関係の複雑さが主題な物語にはエニアグラムじゃないとと思って勉強のモチベ上げてく。

水星ぜんぶ見たら俺、体癖とエニアグラムの相関の記事に挑戦してみるんだ・・・(フラグ)

 

まず判りやすいのは、

ミオリネ 9種体癖 ツンデレをみたら9種とアタリをつけるべし。

初対面では警戒心が強いが、懐に入ると情が深い。完璧主義者っぽく、勘頼りに唐突な行動に出がち、でも往々にしてそれこそが最適解だったりする。

父親もおそらく同じく9種だ。子育てが厳しい、厳し過ぎる。

9種はああいう不器用で言葉が足りない指導者になりがちなのあるある。理想が高く一方通行気味。

 

 

シャディク 5種 ヘラヘラして威圧感がなく全方位に友好的、利に聡い裏切者。

ミオリネに告白できないとか、ここぞというときヘタレ。

養子か・・・、桐生冬芽も養子の策士でハダけ癖が…。

 

グエル 7種 俺がジャイアン〜ガキ大将は7種。

半ズボンに上着を肩にかけるだけというガキ大将スタイルがたいへん微笑ましい。

まさに反抗期真っ盛り。反抗期は捻れの時期でもある。親父に反抗して家出できて偉いねえ~。

スレッタに告白とか突飛なことをするのは8種なのか、ウテナオマージュなのか。

親父も同じく7種っぽいな~。俺に従え先手必勝の脳筋気質。

っていうかバラ園ならぬ菜園の前での花嫁への暴力、敗北からの家出して落ちぶれ、褐色娘好きのネタ枠愛されキャラとかやることなすこと西園寺ワカメがチラついて困るな君!

もしスレッタの褐色がアンシーのオマージュだったとしたら、

アンシーのお兄様絶対依存は最終話まで引っ張ったし、奴はウテナを後ろから刺したぞ・・・。

ウテナポジションのミオリネ頑張って・・・。ほんとに頑張って・・・。

 

 

それで、

ミオリネとグエルからして、親と子が同質ゆえの反発である可能性が浮上してきたが、

 

プロスペラとスレッタの体癖が全っ然わからない・・・。

 

抑圧が強いとわかりにくいんだよなあ。

のびのび生きるときの姿とか、人生に求めるものが見えないと。

 

うーん・・・。

 

プロスペラ、優しげに子を支配する圧の強さは10種っぽいかもしれないが・・・。10種は復讐に向かないよな。

スレッタ、友達が欲しいのがやりたいことリスト筆頭とか、どもりがち(副交感神経の緊張)、感受性は受信する方だから、もろもろで4種っぽいかもしれないが・・・?

 

いや、本音が見えるまで暫定としておこう。同質ではなさそうだな。

 

 

エラン4号・・・儚げな王子、マネキン、感情が見えないクールは4種かもな。

4号はスレッタと鏡写しの関係性だから、それも参考にしつつ。

ハッピーバースデー、君のことは報われるまで忘れられない。

 

あ、姫宮アンシーも人形のように感情が見えないクールで4種か~・・・。

そういえば終盤で実は魔女っていう設定がでてきたっけな。水星の、魔女・・・。

 

4種は自分の感情が曖昧で闘争に快が無い。

支配との対峙、自立の根拠になる感情のボルテージが弱そう。

どういう過程を辿るのか楽しみだ。

 

 

チュチュ

 

あ、チュチュのヘアスタイル斬新と思ってたけどそういう・・・?

 

まあ、どんどん符合する気もするけど、全部気のせいかもしれないし、

アンシーサイドからのストーリー展開としても新生ガンダムとしても水星の魔女は面白いから無問題!

 


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今見ても色褪せないオリジナリティでカッコいいのしゅごい。

 

洗脳を解こうと母プロスペラと対峙して、スレッタに後ろから刺されるミオリネを見なくてはならないのだろうか。

鬱だけど、新しいウテナがまた観れるのだと思えば覚悟もつくというもの。

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体癖 - Wikipedia

 

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