ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

映画・海獣の子供、感想

映画「海獣の子供」ARTBOOK

 

二回観に行った!

もはや全編が瞑想導入映像。素晴らしかったけど、これは一般受けはムリかもww

玄人か、子供くらい先入観なしのまっさらな頭じゃないと入ってこないかも。

なんの玄人かは知らんけどww

これがもし流行ったら日本始まってるけど、ちょっとどうかな・・・。初日、初回は見事にガラガラでした。お客十人いたかなぁ・・・。

 

しかし面白かった。くらくらした。MV周回で鍛えていったのにww

 

MVで注目していた水色の渦巻きと赤い渦巻は、まさかの表裏一体で、カードの裏表みたいにぐるんと回転したよ。まじ魂消た。

あの映像だけgif で欲しいマジで。ずっとぐるぐる回転するのを見ていたい。

 

もう、映画全体がクライマックスにむけての助走になってると思ったほうがいい。

途中から筋書きとか意味なくなるww少年少女の青春描写などただの助走ww海辺で食べるごはんは美味しそうだけどww

 

前半で、海君と泳ぐ魚の群れが渦巻きなのは言わずもがな、風力計、洗濯機や、車のタイヤまで渦、回転運動であることを強調してたな。

「赤い海が青く光るなんて」という言葉も印象的だった。

「光るものは、見つけてほしいから光る」というのも人魂と、少年たちが光るわけも説明してる。

誕生祭、ゲスト、と言うワードでも割と親切になってもいた。

 

ヘイトを集めそうな描写はだいたいマイルドになってた。

琉花がハンドボールで相手にケガさせるとことか、最後に和解フラグも入ってたし、

琉花の父も娘を迎えに来れてたし、母のウザさもまぁ軽減されてた、あと海女じゃなくてトリーターってことになってた。(江の島水族館用語の飼育員とのこと。)

ジムとアングラードの確執もなし、それなりに出番もつくってあった。

男性陣の不遇さの底上げはやっぱりされてたな。

 

琉花がハンドボールとかチームメイトとうまくやれないのは、

海や異界に親しむ才能を持って生まれた琉花は、陸のルールに馴染めないってことかと思うけど、そこはもっと普通の女の子って感じにデチューンして親しみやすくしたんだな。

家族の再生、みたいなことになってた。

ビールの空き缶はなかなか気の効いた小道具になってたなぁ。

玄関に山盛りになってて、原作だと中学生の琉花がそれをゴミの日に出さなきゃ、と思ってることで母のダメさの表現になってるんだけど、

映画では琉花が朝、落ちてる缶を拾ってゴミ袋に入れる、

で部活でトラブッて家に帰ると、また缶がゴミ袋のまわりに落ちてる。

琉花、ドアをそっ閉じ。帰りたくない感の演出になってる。

父母の和解の場面で、テーブルの上の空き缶を桃に置き換えるのが、母の心の描写になってる。

で、桃の皿がカラになってて、蜂が花のまわりを飛んでて、次の子が生まれるようなことをしてるんだなとw

で、父がビール缶のゴミ袋を捨てる。家族のためになにかする気になったんだな、と。

 

海君のエキセントリックは薄めるどころか追加されてたな…。イルカと一緒に芸してエサもらうなよw人魚姫少年の神秘がペット的愛らしさになってしまったwかわいいから許すけど。

 

少年たちは、不老長命ぽい設定から、まさかの短命かもって設定になってたけど、

それもそれなりに辻褄として合う改変だったと思う。

少年二人とも帰って来ないエンドへのフラグにもなるし。

初対面の空少年のセリフ変更とか、琉花とより親密になろうとする感じとか、

短い命だから、色々やっとこうみたいな?

原作の生死を超越した感じが、一生懸命みたいな感じになってたかも。

 

琉花の子守り唄の追加はアニメならではで良かったなー。

歌詞詳細がほしい。

 

ねんねんやぁよ、

海に生まれた魚(うお)の子も

乳を含ませ足は立ち、

天は…星は駆けてなんとか…

とか、歌ってた。

 

星の、星々の、海は産み親、人は乳房、天は遊び場、

の歌とイメージとしては同じだったので、

あれもクジラのソングの人語訳か、

同じインスピレーションを受け取った歌ということだろう。

星の歌は鯨狩の島の歌で、琉花の子守り唄は日本の歌。

世界各地に同じ伝承があるという世界観に合ってる。

 

デデのキャラはもうちょっと上手いこといかなかったものかなあ。

アングラードは詭弁役だからポエムでもいいけど、

デデまで同じようなポエムではちょっとな・・・、年取った琉花の役も混ざってるんだろうけど。

青年と老婆の対比、少女と老婆という対比、をもっと強調してつくってほしかった。

ポニョでもかなこちゃんとトキさんがそういう対比になってたりする。

具体的にはもっとしゃがれた声であってほしかったw目だけキレイなのも違和感w

 

映像としてはとにかく、なんども回転、渦巻き、カメラがぐるり、をやる。

 

青い渦、赤い渦、

そして、深海の描写があって、雲の上から落ちてくる。

 

右左、上下、空の上や海の下に手が届かないと誰が決めた?

 

そういう風に脳を使うと、すべての部位を活発にして釣り合わせると、

脳はシンクロ、共振共鳴モードに移行し始める。

 

本当の秘密、世界の秘密、無限、空、0、へのシンクロだ。

 

創造、奇跡を描くには、やはりそれが必要だ。

 

しっかり助走がついてるから、クライマックスの映像はそりゃもうww大変なことになってたよwwブッ飛んでたよww

 

なんか結構アニメオリジナルのイメージが足されてたな。

洞窟とかカットで、他の海洋生物が渦巻きになっていくのもカットで、

琉花の行動も違うんだよな。

まず琉花が隕石を飲んだまま「私が宇宙?」な状態になる、

多分それで、誕生祭の意味を理解するんだろうな。海少年が帰って来ないのがわかる。

だから隕石を海少年に渡すまいとする。そんで隕石の獲りあいになって、

海少年が赤ん坊になると、渡してあげる。

 

人魂も海の幽霊も少年達も「光るものは、見つけてほしいから光る」んだけど、

空少年と夜光虫の海で琉花は「消えちゃうのに光るなんて、なんだか悲しい」と言ってた。

そこは映画で足されたセリフで、結構ラストへの重要な伏線になってる気がする。

海少年を引き留めようとして、でも、彼の望み通りにもしてあげたい、その辺の葛藤が追加されてるのかな。


ルカが年取って語り部になるのはカットだったけど、

ラストシーンで、波打ち際にカニがいる。

波打ち際。それは彼岸と此岸の境界、異界と現世の交わる曖昧なところだ。

カニ、はさみ。琉花が臍の緒を断つときに持っていたはさみ。

人魚の泡を飲んだ少女は、二つの世界の狭間で生きるものになる。魔女になる。

風薫る砂浜で、また会いましょう。という約束はいつか果たされるだろうなと思えた。

 

 見た人はどんな感想になるのか聞きたいな~。

自分は予習のし過ぎで感想に新鮮さがなくなってしまったw

まず、わけわかんなかった、で正解だと思うけどw

 

inspiration.hateblo.jp