ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

水星の魔女感想 食べる子は育つ。

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出演声優による感想会が解像度高くて良かった、

というか水星の魔女はラジオとか公式からの供給がすごく充実してて、

感想記事とか書かなくてもかなり満腹満足できてしまっているのだが。

 

ともかく水星の魔女、面白かった~。

 

後半からのキャラの好感度管理が素晴らしかった。

DV3連敗家出少年から正統派主人公的成長を見せたグエル株の上昇、

キモキザすぎる4号の演技からしたたかな素の顔を見せてきたエラン5号株の上昇、

そしてすべてを搔っ攫ったフェルシー株の爆アゲがぶっちぎりでレジェンドww

 

最終話でフェルシーのセリフなかったことだけ本当に惜しい。

グエルの隣に居て良かったやろがい。

いや、最終話で ~〇年後~ からのカップル乱立パターンは賛否両論あるから、そこはあえてアリか。今後の展開とかも匂わせてるしな。

最終回発情期 (ふぁいなるふぁんたじー)とは【ピクシブ百科事典】

 

 

逆に自分的に株が下がり続けて回復しなかったのはシャディクだな~。

全部のスケープゴートになって最後に「さよなら」って、バカなんすかぁ!?

シャディクガールズのメスガキ枠レネちゃんに消火剤ぶっかけてもろて、諦め顔の死亡フラグ叩き折ってほしいわ。

そういう自分を幸せにしようとしないやつが一番めんどくさい。

エラン5号の生き意地の爪垢を煎じてバケツ一杯飲ませたい。

ちなシャディクと5号は体癖的には同じタイプっぽい。

リアリストで社交的で視野広く万能な5種体癖だ。

どこで明暗分かれたのかはきっとエニアグラムでわかるだろう勉強中。

まあ、もう死刑になるから二度と会えないの「さよなら」じゃなく、

単にミオリネへの恋を諦めた「さよなら」だとあえて狭義に受け取って、

ワンチャンあることにしておこう・・・。

 

 

それはそれとして、

 

 

 

主題であるスレッタの自立も素晴らしかった。

スレッタとプロスペラ、ミオリネとデリング、グエルとヴィムと、

三者三様に抑圧的な親子関係を提示してきたわけだが、

全員が親と対峙して、そこから精神的自立を果たした。

そこから更に、

親が退いて世代交代、

責任ある次世代の大人として活躍するところまで描いたといえるかな。駆け足で。

 

スレッタが母にNOを言えるとこまでは必然的展開だったと思うが、

そのあと、母のことも失いたくないというのはとても優しい選択だった。

 

いや、そもそも前半どんだけヤバめのサイコ毒親なのかと思われたプロスペラが、

「学園へ戻りなさい、あそこでならあなたは生きていける」という一面を見せたことあっての話か。

あそこらへんで意外と、エリクトのために産みだしたクローンであるスレッタにも、それなりの情があったのが判ったからな。

そもそも学園に入れたのはスレッタに次の居場所を与えるためでもあり、利用した後まで使い潰す気ではなかった。

レスバ鬼つよのプロスペラが唯一言い負けたのがミオリネの「母親なら平等に愛してやりなさいよ」だったのは面白かった。

そこで黙るってことは、平等に愛してやりたい気持ちも出来てない自覚もあったということ。

プロスペラの動機は復讐でなく、娘への奉仕だったのでそこはやっぱ10種体癖だったな。

ミオリネも核心をズバッと突いちゃう勘の良さは9種。つか唐突にグループ解散とか会社立ち上げもそうだったけど、独断即決即行動の速さが9種。

 

 

スレッタの自立する流れは意外とサラっとしてた気もするが、

舞台装置としては説得力あるものが揃えられていたと思う。

エアリアルのコックピットから宇宙空間へ排出される姿は、狭い胎内から外界へ誕生する再生の儀式になっていたと思うし、

その後の精神的立ち直りが早かったのも、

宇宙空間でしっかり号泣していること、

地球寮で盗み食いとみんなで食卓囲む場面があって、

泣いてスッキリして、しっかりご飯を食べて元気になる。っていう。

フィジカルをケアすることで、メンタルをケアしている。

これはなかなかに頷けるテーマだと思った。

鬱には筋肉が効くとか、レベルを上げて物理で殴るみたいな、

精神的かと思われた問題に即物的にアプローチするという成程それな。

 

思えば、最初からスレッタは食べる描写が多い主人公だったよな。

ミオリネのトマト、食堂で大盛り、エラン4号の弁当差し入れ、雑誌の表紙、もろもろ。

 

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それは、データストームの中にしか存在できない、肉体の無いエリクトとの対比なんだろう。

 

被災した学生にトマト配るとこで「私は動けますから」とか、

最終話最後のセリフが「お腹空いちゃいました。」とか。

 

まずガタイがよく、恵まれた肉体を持っているということが、スレッタの成長とタフな心の根拠なんだなと思った。

身体が健康な人は心も健康というミもフタもない真理w

 

データストームの中では、時間は経たないもんな。

エリクトはずっと9歳くらいの子どもの姿のままだ。

情報体精神体というものは、心はあれども、

食べる必要が無く、物理干渉できる身体が無く、

だから、体に伴って心が成長するということもない。

 

プロスペラとエリクトの母子の関係性は、エリクトの方からは変えられないということかもしれない。

 

エラン4号やバナディースの皆さん、データストームに取り込まれていた死者が姿を現す場面があるが、

プロスペラはあそこで初めてエリクトの姿を視認できたってことでいいのかな。

パーメット8のレベルに耐えてエリクトを見てたのはスレッタだけだったわけだから。

しかし、パーメット8には耐えられないプロスペラが夫や師の姿を見て声を聞くまでは、まあ音と光は情報だからギリいいとして。

エリクトを抱きしめていたのがおおマジかってなるところだな。

抱きしめる身体は、情報でなく物質だったんじゃないのか。

 

データストームから人格を抽出し、エリクトの肉体を一瞬だけ構成した代償として、

キャリバーン・エアリアル・ファラクト・シュバルゼッテの4機体は崩壊してしまったのだろうか?

それはもはや召喚の魔術ですねwwwまあタイトル水星の魔女だからいっかwww

あまりに進んだ科学は魔法と見分けがつかないとクラークの法則でもいいますから。

 

 

4機のガンダムが失われたということで、兵器としてのガンドは一応実態がなくなり、

ペトラの両足など義手義足、身体拡張としてのガンド医療が示唆された最終話だったが。

 

エリクトは結局あのキューブとかスーツケースとかキーホルダーが本体なのかな。喋れるしネットは使えるけど動けないって感じか。

等身大ガンダム、エリクトを搭載するための義体の開発とかは描かれなかったな。

 

いやしかし、そんなこと出来たら人間はデータストームに人格を保存して肉体はガンドで互換すればいいという、不死が可能になってしまうか。

気の毒なエラン4号君にもう一度身体と本当の顔と人生を、とか、できるとなったらやるかどうかでだいぶ葛藤するわ。

マジでパーメットもガンドも扱うのが難しい技術という他ないねwwww

 

ただそういうSF的発想、

人間はつまるところ人格や意志などの情報であり、

精神と肉体の主従では、精神を重んじ肉体を軽んじるという風潮。

 

例えば肉体の一部が病んだなら、それを取り外して付け替えればいいじゃんとか、

なんかの分泌機能が弱ったなら投薬で代替すればいいとかの、近代医学の発想。

頭、脳さえ無事ならあとは顔を良くでも足を長くでも性の転換でも望むままにカスタムできるみたいな、思い違い。

 

それに対するカウンターが求められる時期がきているのかと思う。

部分の集合ではなく、心身の調和に真の人間性があるということ。

 

 

深謀遠慮のプロスペラと情報戦無敵の精神体エリクトに対して、

 

難しいことは考えられないけど、

悲しければ悲しいままにだばだば泣いて、ご飯をたくさん食べることで前向きになれる、

とにかくフィジカルがメインで後はその場の勢いでなんとかなれー!のスレッタ・マーキュリーが未来を勝ち取った。

 

そういう意味でも、今という時代に合った感性の物語だったと思う。

SFというのは、ちょっと未来の感覚、若者に必要とされるフィーリングの先取りができてないとウケない。

 

 

とすると、自身は学校から動かず人を動かし策略で世界を変えようとしたシャディクがバッドエンドルートで、

家出して地球に落ちて這い上がってきた泥臭い実戦派のグエルがハッピーエンドルートだったのも、主題に沿ってる気がしてきたわ。

頭でっかちでなく、体当たりで生きろと。

 

メンタルよりフィジカル、いや、フィジカルケアからのメンタルヘルス

肉体をいたわることで、なにはともあれ心が前向きになるから。

残酷な世界で何が起こったにしても、まずは目の前のできることからだと。

 

確かに~。

 

情報化社会では、スマホやテレビの画面の前にいれば、

世界の情勢でも歴史でも地理でも、上級か底辺かの人生の条件でも知ることができる。

一覧できる情報が大量過ぎ圧倒的過ぎて、一人で頑張ってもどーにもならない変えられない状況を見せつけられて、やる気を失くす。

 

知らないからこそ無謀になれることもあるし、

知ってしまえば憶病になり無力感に苛まれることもある。

 

それでは、人間は肉体と精神から成っているというのに、

精神と情報の方に天秤が傾き過ぎているのだ。

 

だから、そうなったら、肉体にフォーカスする。

 

しっかり寝て、新鮮なものを楽しく食べて、てくてく歩いて、

そして、目の前のできることをひとつづつやる。そういうリアリティ。

 

時代はそういうフィーリングを求めている、ということかもしれない。

 

 

 

 

 

 

まだ色々あるはずけど、とりあえずここまで。

今からウテナの最終回も見ないといけないので!

 

そういえば、チュチュ、セセリア、フェルシー、ソフィ、ノレア、レネ、と似た属性の女子多すぎ問題について、

 

ウテナ見てたら、七実様、梢、枝織、茎子、と似た属性女子多めなことに気がついた。

 

まあ、水星のナマイキはねっかえり女子勢は全然かわいげあるけど。

ウテナのほうは陰湿で女の嫌なとこ煮詰めてる感がリアル過ぎて背筋が寒いやつ。

 

 

 

シュバルゼッテめっちゃかっこよかったなー。

ラウダをどけてグエルが乗る展開があれば3倍売れただろうに、惜しい。

キャリバーンの魔女のホウキっぽい装備もかっこよかった。

ダリルバルデもよく頑張った。