ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

モノノ怪、化猫を解釈する。トラネコの理。

 

YouTube公式配信おつかれ~。

全話ぶっとおしはキツかったあ~。

脳が飽和した。目がぐる、ぐる、ぐる、ぐる、したw(@◇@)

でも皆でチャットしながら見ながらアニメ見るのって久しぶりで楽しかった!

OPEDの間にトイレ行った報告したり、酒飲み報告したり、

セリフに合わせてぐるぐるぐるぐるしたり、うっかりうっかりしたり、ツッコミいれたりネタバレしたり考察したり。

OPの終わりで「かいっ!」の弾幕するんだよwwなっつww

それらも含め15年前のニコニコ時代を懐かしんだ。

 

 

さて、終了後即爆睡からの翌昼、風呂しつつ徒然に思ったんだけど。

 

最終話の化猫は、疑問が残るなあ~。

 

なんであのトラネコはエリザベスカラーに赤いチョッキを着てたんだろう。

 

それが一番気になる。猫好きだし。

 

カラーしてるってことは、動物病院に行った、人に飼われてる猫なんだよな。

でも、祟りなす情念の主である新聞記者節子は猫を飼っていない。

 

あの猫は、節子が電車に轢かれる、あの場に居合わせただけ?

 

節子に縁のない猫なら何故、恨みのこもった血をなめたのだろう。

 

その疑問が作中で言及されないよね。

 

うーん。ただ、

化猫・座敷童・海坊主・のっぺらぼう・鵺、と、ここまで見てきた作品の世界観のなかにヒントはあるのではないか。

 

常に物語は人間サイドから語られ、モノノ怪サイドからの説明はなく。

モノノ怪の理は人に理解できるとは限らない、と言いつつ、

しかし考察してみると、

人間のする非道よりもよほど道理に適っていると思わせるのだ。

 

やられたぶんだけ、やりかえす。

 

最終話化猫でも、殺人事件の原因となった市長は最初にサクッと始末、

実行犯である編集者守谷は、

節子がスクープ記事を紙面に載せられるとぬか喜びをさせられたぶんだけ、

さんざビビらせたうえ「夢だったのか」の希望でぬか喜びさせてから、処す。

 

上げて落とすの心理の揺さぶりを繰り返す。

反復という脚本の技法、ホラーの構成としても見事だけど。

 

倍返しとか、死体蹴りとか、オーバーキルってことがないんだよな。

目には目を歯には歯を、恨みには恐怖を、キッチリ等分に仕返して、それで終わり。

そういうところがモノノ怪の理は、無限の摂理に則るものなのだと思わせる。

怒っているし恨んでいるけど、暴走はしていない。理不尽でもない。

ちょうどいいとこで薬売りが退魔るからでもあるが。

 

 

カラーにチョッキのトラネコは、節子に恩もなければ、守谷に恨みもない。

花嫁タマキの黒いネコとは違うのだ。

 

トラネコの理、心のありさまはどこにあるのか。

 

そういえば、

節子からしてみれば、憎い相手は市長と編集長で確定で明らかだ。

そいつらだけ処せばいいものを、

わざわざ、偽証をした人々を集めて真実を聴取する必要はあっただろうか?

新聞記者だから、殺人を自殺と報道されることも許せなかったのは、まあ分かるけど。

 

そういえばあの運転手、あの沿線は、よく猫を轢くと言っていたか。

色んな柄のたくさんの猫がわちゃわちゃ出てくるのはそれだな。

今まで電車に轢かれた猫達。

 

しかし、死んだから殺されたからといって、

獣はそれだけで恨んだり祟ったりはしない。

 

獣は、腹が減るから食うために獲物を殺し、

繁殖のためにオス猫が子猫を殺す、

そういう生命の在り方を心得ている。

 

死ぬのはいい。しかたない。

 

しかしあまりにも多くが死に、しかもその理由がわからないとなれば、

「なぜなのか、知りたい。」とは思うかもしれない。

 

時代は大正、電車は猫にとって未知のものだ。

巨大な鉄塊が、なぜ走り、なぜ猫を轢くのか。

 

人間を知れば、死ぬ猫が減るかもしれない。

であれば、知ろうとはするのではないか。

 

トラネコはそのために、人に飼われてみる。

病院に連れていかれ、カラーを巻かれ、服を着せられる。かわいがられる。

そういう飼われかたでは、人間が電車で猫を轢きまくるわけはわからない。

 

だから次は、猫と同じように、電車で轢かれるばかりの女の血を舐めてみたのかもしれない。

 

海坊主で暗喩されていたとおり、

人の強い情念と結びつくことは「符呪など効かぬマラの鬼」に、

アヤカシにとっては霊力や認識能力を飛躍的に向上させる、パワーアップ、ランクアップの方法でもあるのだ。デメリットもヤバそうだけどな!

 

そうしてモノノ怪に進化したトラネコは、節子の縁を手繰って人間を集め、彼らの話を聞いてみた。

「猫一匹のために電車を止められないだろう、お客さんに迷惑がかかる」

「ひどい!命はどうでもいいの!?」「そうは言ってないだろう!」

 

そのやりとりこそが、トラネコの知りたかったこと、

それを聞くことがトラネコの行動原理だったのかなぁ・・・。

 

っていう解釈はどうだろうか。

一応スジは通る気はするのだが。

 

まあ、スジとかどーでもいいかってほどには、ちんどんや薬売りがウツクシイ回だよね!

絡みとかおちゃめが控えめだから、そこは海坊主とかのほうが楽しくて好きだけども。

セピア色との色彩の対比だけで何周でも見ていられる。ご飯何杯でもいける。

 

最初の化猫の登場人物がまんま転生で登場するのも一興だ。

坂井の化猫騒動で食い残してしまった主犯を、電車騒動では最初の一口に処すのもまたわろし!いやをかし!

 

そして、節子とタマキもそこはかとなく似ているのには気がつきたくなかったところだ。(声は違う人)

タマキは攫われ虐げられながらも、ネコに恨みを託すことは無かった、「お前は自由になるんだよ」っていうぐうの音もでない聖女だった。

それが節子になると、男社会で男に負けない有能であるかわりに、中居とか女として働く女性を見下すイイ性格になっちゃったっていう。

 

まあ、

カヨもチヨになるとまあまあリアルなクズだし、

人間てほんとそんなもんではあるよね・・・。

 

あるいは、

タマキは復讐を思いつきさえしないほどただ弱く、男どもの食い物にされる女だったけど、

のっぺらぼうで抑圧への気づき、女性の自立、自我の獲得があり。

鵺では逆に男どもを囚えて食い物にする女。

そして節子は男勝り、やられたぶんだけやりかえすことで、

男女のパワーバランスが拮抗する。

 

っていうふうにシリーズ全体での推移を見てもいいのかもしれない。

よく出来ているなああ~。

 

次の劇場版の舞台は、大奥、女の園だという。

 

どんな女性像が描かれるものか、刮目すべし。

 

 

 

追記。

 

あ、ていうか、耳が欠けて、カラーしてて、

もしかしてあのチョッキが傷跡を隠してるんだとしたら、

まあまあの大怪我ってこと?じゃ、あの電車と接触した事故なのかな?

トラネコも節子と同じでもう長くない命とか?

自分もまた電車によって死ぬところだから、

せめてそのわけを知りたかった、

そのためにモノノ怪パワーを得る機会をものにした。

とかの方が普通にありそうな話か。

うっかり、うっかり。(ー∇ー)ゞ 

遠回りしちゃった。

クールにとことこ歩いてくるから、つい去勢かなにかかと思ったけど、大正時代はまだそんなんしないわな。

つかそれ言ったらエリザベスカラー自体が昭和になるまで無いはずだけどw

 

あ、だからそうか。

脚本段階で、轢かれて今にも死にそうな猫と書いてあったとしても、

猫はたとえ死にそうでもそれを隠して平気な顔で歩くものなんです、などと主張しそうな猫キチ原画マンがいたっていうエピソードがあったな。こないだの記念祭で言ってた。

それで、血濡れで瀕死でよたよた歩く猫という案はナシになり、ケガを暗喩するカラーと赤のチョッキにデザインから変更になった、なんて話なのかも。

うん、猫好き絵描きとして、そんな今にも死にそうな猫は描きたくない気持ちわかる。

なんとでもそれらしくプレゼンして、通ればラッキーだよな。

監督が10種体癖のおおらか放任タイプで僥倖僥倖。

結果、視聴者としては大いに謎な描写になったわけだがwwwそれもまたヨシ!

 

ところで、トラネコのカラーとチョッキは最後にこういうハイパーストライクハートきゃわたんの装いになるのだが、

これはきっとケットシーのイメージだね。猫の王様。

ケットシーはお腹の白い黒猫という説があり、タマキのネコはそのカラーリングになっている。

これはあんまり見ない柄行なので、偶然ではなく意図がある。

 

 

民話では、ケットシーは代替わりをするという。

ケット・シー - Wikipedia

猫の王の代替わり、ほほう、だ。

 

つまり、

猫達の代表として、人間と電車の真(まこと)を聴取してきたトラネコは、その功績を以て次代の猫の王に即位した。

かくて猫の集合知には電車が如何なるものか周知され、徒に轢かれる猫は減るのであった。

とかそんな妄想は公式でオッケーということですね!

 

 

ウチの猫にこの衣装着せてぇ~

ちょうどチャトラなんだよな・・・。

え、自作?する?しちゃう??

 

 


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猫好き神アニメーターの話は41分あたり。薬売りのうるわしい横顔もその人の絵らしい。

 


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