ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

モノノ怪劇場版「大奥」を観る心得

週末はYouTubeモノノ怪公式無料でしたね。

当ブログの考察記事にも1000人以上の人が読みにきてくれたようで、ありがとうございました。

 

素直に嬉しい!٩( ''ω'' )و

せっかくだからもうすこし何か書きたくなった!

 

inspiration.hateblo.jp

inspiration.hateblo.jp

inspiration.hateblo.jp

inspiration.hateblo.jp

 

youtu.be

 

っつか、この特報よ。10種体癖はこれだからwww

薬売りさんが最大で64人いるとかそんな絵面はカオスが過ぎるだろwwww

 

この監督の10種体癖の世界観というのは遠心的で茫洋。

ある真実を直観して紡ぐカッコよさは他の追随を許さないけど、

広がり過ぎて収集つかないとか、ついていけないレベルになることもしばしば

 

64人wwwだめだおもしろすぎるwwww

 

しかしまあ、今回は声優が交替するという一悶着があったわけだが、

このCV神谷浩史の薬売りはCV櫻井孝宏の薬売りとは別個体ということで公式見解も落ち着くわけだな~。

 

すると、化猫(坂井家)と海坊主の薬売りはチヨとの絡み方からして同一人物だけど、

時代がとんで大正の化猫の、ちょっと色味が違う気もする薬売りは子孫ないし一族の誰かであり、別の人ではあるってことか~。

 

いや、代々受け継がれてる装束とメイクの癖が強すぎるw

色黒白髪バージョンに変身するためには必要なのだろうか。衣装の模様も動くしな。

 

てか神谷浩史の持ってるブ厚い台本や設定資料(ストーリーバイブル)があれば、

考察とかしなくても答えが載ってはいるのかあ~。

正解を知りたいような、自分で考えたいような、悩ましい気持ち。

 

考察必須の込み入ったアニメか。

思えば15年前とか?自分はニコニコ動画でリアルタイムのモノノ怪を視聴していた世代ではあるのだが、

当時は「あれはこういうことかも?」と思っても、ちょっとコメするか人に話すかしては忘れるに任せていた。

5年前からブログを始めて思ったことを書いてまとめとくようになって、

劇場版制作発表からモノノ怪の記事を書いたのは1年前。

 

自分なりに物語を消化するのに10年以上かかってると言っても過言ではないw

10年味わっても飽きない、自分の認識の進歩とともに違う側面を発見できる。

それは優れた普遍性を備える物語といえるな。

 

劇場版「唐傘」もきっと初見では映像の情報量に圧倒されて、

結局何が起きていたのかはわけがわからんという感想になりそうだが、

 

ここまでシリーズを観てきて言える鑑賞のコツはだ。

モノノ怪の視点から考えてみること。

・女性像の在り方

に注目することかな。

 

物語は常に人間サイドの目線から語られて、

モノノ怪視点のモノローグなどが無いことが予想されるが、

 

横暴で理不尽なのは多分また人間のほうで、

モノノ怪はなにかの「摂理」であるらしき一貫性に基づいて行動している可能性が高い。

 

因果応報の復讐、正当防衛、生存戦略防衛機制、自己保存、などなど。

 

そしてアヤカシにとって、人の情念と結びついてモノノ怪へ変化することは、

「符呪など効かぬ魔羅の鬼」となること。

それは実のところパワーアップやランクアップの側面もある話だということ。

ハイリスクハイリターンなんだろうけどな。ケ(病)の状態でもあるわけでその因縁に縛られてどこにも行けなくなってしまう。バーサク的な?

 

 

で、一作目の化猫からの女性像の変遷も頭に入れておくべきだろう。

 

花嫁タマキは

家長制度、父権の強い社会において周囲に従うしかない弱い存在だった。

 

志乃は母親

夫や家の助けが期待できなくても子を産み育てようという気概をもつ。

(それが実際にできるかどうかはまた別の話)

 

お庸はぴえん女子

推しのためなら死ねるガチ勢。盲目的に自分を捧げ尽くしてしまう破滅型。

 

お蝶は精神的自立

親の条件愛と抑圧に気がつき、どうとでも生きていけるという自分自身への信頼や尊厳を回復する。

 

鵺は魔性

ここまでの女性像が抑圧される側だった反動か、鵺は男達を捕えて支配する女だ。

 

節子は男勝り

男社会のなかで頭角をあらわす有能であり、かつ女としても最先端のモダンガール。

(代わりに女中のような旧態依然の女性を見下している)

 

と。

 

タマキによく似た節子が、タマキのような男に従う女性像を見下しているというのが、

なんともわかりみがあり味わい深いところだ。

成長したことで過去の自分が黒歴史になってる的な。

 

タマキは猫に「お逃げ」と言う。

それはぐう聖ともいえるが、

復讐を思いつきさえしなかったとも、家長制度父権社会に疑問をもつことさえない段階だったとも言える。

支配と庇護をただ享受する、それは子どもの在り方だな。

 

志乃はある意味反抗期。

母は強しとも言うがそれはそれとして、

夫も家もなくてもやっていけらあ!は実際には無理ゲーというもの。

ほんとのほんとに自立した大人であれば、どうにか共同体と協調するかイニシアティブをとっちゃうとか。

意地だけでアテもなく家を飛び出しちゃうのはまだ反抗期的な若者の印象だ。

まあ、そこから良い人達に出会える可能性も全然あるしいいんだけど。

 

お庸も思春期的な不安定さだ。

クズに尽くしがちな女子というのは自己評価の低さや基本的な安心感に欠けている。

しかし「そういうものと思った」で理不尽をスルーしたり耐えてしまう自己犠牲的な感性というのは、子育てするにあたって必要なものでもあり、

ある程度本能的に組み込まれているものといえるのかもしれない。

年頃の女性によく見られる心理ではある。

 

ま、そういうふうに女性心理が段階的に進んでいくのを観ることもできるわけだが、

 

その視点でいうと、「大奥」というのは女の園

女が圧倒的多数の、女の社会になるわけだ。

 

ここまでずっと家長制度や父権社会のなかでの女性を描いてきたから、

その大前提が逆転している舞台設定であると予想される。

 

女社会のなかで少数派である男性がどういう圧をかけられているのか、気になるところだ。

鵺でも男たちを支配する女ではあったわけだが、

鵺の動機は観測されることが必要という自己保存であってごくシンプルというか、心理面での複雑さは無かったから、

そこのテーマを改めて深堀りできる余地は十分ある。

 

女が主体の社会ね。フムン。

 

今現在、女性の社会進出がどーのとか、ミサンドリーミソジニーがどーとか、そういうムーブメントもあるけども。

 

そもそも、封建時代以前の話をすると女系社会や母権制のほうが世界的にメインストリームだったっていう話はある。

 

ja.wikipedia.org

 

NHKの「光る君」やアニメ「平家物語」など、

物語の舞台としてもよく使われる平安時代の描写を思い出してみれば、

男が女の家に通って、そこの家に婿入りするという制度になっているわけで。

 

あるいは、神代の物語まで遡ってみても、

豊葦原中津国の最高神天照大神、女神だ。

女神を頂点としたヒエラルキーがある。

男性は月であり弟なのだ。

太陽神、昼の顕なる世界の神が女性で姉でアマテラス。

月や黄泉、夜の陰なる世界の神が男性で弟でツクヨミスサノオっていう。

 

だからまあ、母権社会を描き得る風土というか下地というか精神性というか、

そういうものはあるんだよねっていう。

 

まあ、そんなとこまで時代を遡らないで、あくまで江戸時代の話だからな。

封建社会のなかの女権組織であり、天子(男)を頂点にしたハーレムなので、

実権を持ってるのが男であるのか女になるのかは見てみないとわかんないけど。

 

ここまでのモノノ怪の語り口のなかでは、

女性は常に男系社会によって抑圧される存在だった。

 

腕力でも権力でも男に敵わないから、

女は魔の力に親しみそれを行使してきた。

 

その女性像が、

男女の力関係が拮抗した節子の次の段階、圧倒的多数派の権力を手にしたとき、

 

いったい何をやらかしてしまうのか。

 

もう想像するだけでうすら怖ェ~。

 

絶対暴走するに一票いれとくわ。

 

 

 

 

 

 

小説版が先行発売!

いや、しかしネタバレなく劇場版が観たい気がするな。

一回劇場版見に行ってから、小説読んで、それからまた劇場に周回に行くか・・・。

 

 


www.youtube.com

お、チヨとカヨの声優ゆかな出演してるやん。薬売りとわちゃわちゃしてほしい~。

 


www.youtube.com

平安時代の物語。悠木碧の歌唱力にビビるw

 

 

平安時代の物語なら陰陽師が推し!

式神!鬼!百鬼夜行!陰陽五行のオカルト必殺技!そんなんが大好物!

光源氏モチーフはメロドラマ過ぎてあんまし好きくない。

 

あ、でもこれは恋愛がテーマなんだけど平安の風俗に親しむ漫画として好き。

 

ていうかよく考えたら時代劇とか歴史モノはあんま詳しくなかったわごめん。

大奥つーたらコレが有名よなーくらい。

 

あ、でも水木しげるの今昔物語はめっちゃ繰り返し読んだわ。

これ読んだ後だと原典もけっこう楽しめるw

 

けっこう色んな漫画の元ネタの話があって面白いのだ。

 

 

10種体癖の世界観つーと、最近では転スラかな~ていう過去記事

 

inspiration.hateblo.jp

inspiration.hateblo.jp

 

 

小説 劇場版モノノ怪 唐傘 (角川文庫)