ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

あるべき家族へ辿り着いた物語。

今日見た「君たちはどう生きるか」めちゃくちゃ語りたいので、

ネタバレNGな人はごめんなさいで読まないでください。

上映観てきて語りたい人、疑問が脳内をぐるぐるしている人はどうぞそのままスクロールしてください。

ていうか、せっかく事前情報ナシなんだからネタバレ無しで観にいくのをオススメする。

まず映像体験として圧倒的なクオリティで絶対損はしないと保証する。

ポニョと風立ちぬでラフに崩してきた絵柄を、全盛期のハウル並みに整えて戻してきて、

更に今までのジブリの風景とアクションを全部盛りにぶっこんできてるから。

押しも押されぬレジェンド天才宮崎駿がセルフオマージュ始めたら、ほんとに誰も追いつけないからやめたげてwww無慈悲www

ってくらいのクオリティの暴力だから。

上映130分は観るほうもなかなかの耐久レースな件。

体調ととのえて劇場行ってね! 

 

 

さて。

 

 

 

そのうち清書するつもりで、思いついたことそのまま徒然形式に書く。

てか2周目も行くし、メモで忘備録でもある。

 

 

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7人の小人ならぬ7人の老魔女で、白雪姫モチーフがあることは確定。

キリコ婆さんが渡り廊下を挟んで「ぼっちゃん、立派な弓はいかが?」と誘うのは、

窓枠越しに「甘いリンゴはいかが?」の白雪姫のオマージュか。騙されないけど。

その場面もだが、男女が反転してる。

継母と白雪姫の、王という男を巡る女の確執が男女反転して、

父と息子の、妻を巡る確執、エディプスコンプレックスがテーマで、それから?

 

 

 

 

 

 

 

導入部は不穏。

戦時中で、母の入院している病院が火事だという場面から始まる。

音が遠くなり視界が歪む悪夢のような表現が秀逸。

 

主人公眞人の「僕も行く」のセリフ一回目は何もできずに母を失ってしまう。

 

 

田舎へ疎開

駅に迎えに来た母そっくりの夫人を「新しいお母さんだよ」と父に紹介される。

帽子をとって礼はするけど一言も喋らない眞人は、頑なで現状を受け入れていない顔。

母の妹を妻にする父もどうかと思うし、

母が亡くなってまだ二年なのに妹の腹に子がいるのもどうかと思うし、

しかし、母によく似てしかもちょっと若いお姉さんを慕わしいと思ってしまった自分こそどうかと思うし、

なんかもう父も妹も己も、みんな母を裏切ってるような気がするとでもいうような、

思春期的な潔癖さ、自罰思考、ガラスのように繊細でナイーブな感じがよく表現されていた。

 

 

 

 

田舎の屋敷が、油屋もかくやの大屋敷。非現実的なまでの巨大さ。城か?

古びた和洋折衷の迷宮のようで悪夢のようで、とにかくすごい(語彙力)

宮崎駿の幼少期の原風景が夢パワーで増幅されているみたいな感じだ。

ああいう巨大建築の夢を見ることはあるけど、解像度が桁違いで圧倒。

 

しかしこのシーンのポイントは

眞人さんは初めてですから、表玄関から入りましょう」を推したい。

だって前作風立ちぬでは主人公次朗は、菜穂子の屋敷に庭から入った。正面玄関を通らなかった。

あれはなんだか奇妙なコンプレックスを感じる場面だった。

だから、二人の結婚は恋愛から先に進まなかった、とも言える。

家の正面、玄関を通ること。それがあるべき家族像の象徴のように扱われている気がするのだ。

 

実際に父と眞人と夏子が住むのは、表玄関のある大屋敷ではなくて、離れの洋館みたいなところだが、

そこの玄関も意味深に描かれる。置かれた靴でキャラクターを示し、

そして、最後の場面ではその玄関から家族が揃って東京の家に帰る、というのが結末になるのだから。

家族と玄関。という関係は注目だ。

 

っていうか、そう。そこ。

後半の世界観の情報量が膨大でわけわかんなくなるけど、

主題にフォーカスするとごくシンプルとも言える気がするんだよな。

 

永い変遷を経て、

宮崎駿の家族像が、あるべき姿に辿り着いた。っていう。

 

今までの宮崎駿の物語は女性性や母性が主軸で、父権が弱かった。

だから、家族の関係に着目すると、いつもなにかが歪だった。

 

父らしい父、一家のリーダーであり働いて家族を養うマッチョな男性像。

母らしい母、優しくて子供想いで家庭を暖かく保つ女性像。

 

いうなれば 夫唱婦随 男が動き女が受け従う、という陰陽の神話的とさえいえる元型が、いつもどこかで逆転していた。

クシャナ殿下に付き従う参謀クロトワとか。

三人のマザコン息子を従えるドーラ船長とか。

乙事主(♂)の語るべき誇りと生き様をモロ(♀)が語っちゃうとか。

子どもを置いて職責を果たしにいくリサとか。

 

婦唱夫随なのだ。女が能動し男が追従する。

ずーっとそこが変えられないままに、手を変え品を変え語り続け、少しずつ越えてきたテーマだったと思うのだが。

 

君たちはどう生きるか」の父親は、いかにもな父権の特徴を強調されている。

金を稼ぐ甲斐性がある。社会的地位がある。

周囲を思い通りに動かす圧の強さがある。家族や息子を守る気持ちがある。

無神経さも目立つが、集団を率いるリーダーシップはそれでいい。

 

濃やかに、子どもの気持ちに寄り添うのは母親の仕事だからな・・・、

 

父は、子によかれと思って行動するが、

思春期の子にとっては的外れでクソ余計なお世話っていうww

 

それがまさに父親像の最大公約数というものではないだろうか、頷けるわ~。

 

転校先に派手に車で乗り付けるのも逆効果だし、

学校に300円賄賂寄付して校長に息子をヨロシクお願いするのも逆効果、

 

当然の帰結として、都会からきた鼻持ちならないボンボン息子は、田舎少年達の癇に障って疎外されるわけだが。

あの一連の場面、BGMのみセリフ無しでパッと絵を切り替えてくPV風だったのすごない??

新海誠かと思ったわ、ああいう見せ方って今風で新しいと思ってたのに、

宮崎駿おじいちゃんは80歳で感覚のアップデートできてるのやべえわ。

 

おっと脱線した。父権と家族像の話か。

 

えっと、いかにも父的な父は、妹妻の夏子の心もガッチリ掴んでいるらしい。

 

夏子は、眞人を息子として受け容れようとする。

まあ、そら当然なんだけど。

子ども相手のスキンシップを思春期ボーイにやると、違う意味の距離が縮まることがあるんですよね~、そこは夏子さんも迂闊ですよっていう。

 

エディプスコンプレックス。

父を排し、母を得ようとする、少年の心理。

 

塔へ姿を消した夏子を探しにいく眞人だが。

 

オルフェウスにしろ、イザナギにしろ、

冥界や根の国、もうひとつの世界へ迎えに行く相手となると、それは妻であるという古典的お約束がある。

 

で、しかし。

 

塔の中の世界、人が生まれる前の、根の方の、海のような、地下と水の胎内の世界に。

墓とも呼ばれる磐座がある。

その奥に坐すのは、死と生を司る黄泉の女神、太母だ。

その姿こそ描かれないが、

その墓たる磐座こそが忌屋であり産屋であり、夏子はそこで出産をするという。

となればそこはなるほど男子禁制ではあるだろう。タブーだ。

オルフェウスイザナギもタブーを侵すから黄泉帰りは失敗する。

 

眞人が、そこにとして迎えに行くと拒否された。

「夏子、帰ろう」はNG。

夏子は、息子のはずの少年が夫ヅラしているのに気がついて「大嫌い」と髪を逆立てて拒否。断固拒否。

 

こらあかんとなって、方向転換をした。

 

「母さん、夏子母さん、帰ろう」と、子どもの立場から呼びかけたら、母性がでて態度が軟化した。

男子禁制の場ではあるけど、成人前の子どもというならタブー的にもギリセーフ判定にもなった。

 

あのシーン、あの言い換え、めっちゃ大事な気がする~。

 

 

少年の内面の、母と妻を混同して求める気持ち、母を妻として得ようとするマザコンインセストなコンプレックスに決着がついた。

 

夏子さんは、父の妻。

そして自分は子どもであるというポジションを納得して、受け容れたのだ。

 

ゆえに、母を得たいがための父への反抗期は終わる。

父、母、子、の関係性が安定し、家族像のイデアが完成する。

 

で、現実に帰って、洋館の玄関に家族が揃って家に帰るよーっていうラストになる流れなのだ。

 

そこだけ抜き出してみると、割とシンプルで解りやすく、

かつ今まで一度も描けなかった家族像を表現している。

 

いや、ほんと宮崎駿のそういうとこが凄い。

 

同じことを二度しない。テーマが変遷し、昇華されていく。

 

なるほどそうきたか。

直接対決や対峙や対話で父を越えることは結局無かった。

父を越えて妻を得る、路線ではなく。

母に拒否されて諦め、子どもである自分を受け入れて、対立を解消する。

 

・・・いや待って、結局女が強い、女が主体という根本が変わってないじゃんwwww

ママにメッされたからで諦めるのは、目新しい視点ではあるけど、

少年の心の成長はそれでいいのか・・・?

自立と成長のため家を出るのではなく、

子どもであることに納得して家庭に収まってしまった。

それは後退・・・、というわけではないのか。

現状を認めない頑なさや潔癖さを和らげて世界を受け入れたと? ふむ。

 

まあ、まだ初見の所感だから暫定の仮説だ。

 

でも、母が父を愛してることが、家庭と子どもの心の安定に大事なのは、ほんとそう。

父が母を虐げていたり、夫婦間が冷めていると、

息子は父に代わり母を守ろうとしてしまい、その感情がインセスト方向に拗れやすくなる、と。

それはあるねえ~。ほんとよくある。

 

 

 

 

まあ、成長というならば?

 

 

そう、二回目の眞人の「僕も行く」のセリフの場面では、

弓を自作して、武器を片手に母を探す冒険に出られるんだよな。

 

武器を作り腕を磨き、獲物を射て、食べるために捌いて。臓物に埋もれる。

というイニシエーションを順に通過し、生きる力を身につけ成長していってるのはまさに王道。

 

あの、サギの羽を矢羽根につかうのは「返し矢」だね。古事記にもある。

実はアシタカもやってた。敵の矢を掴みとって返し射ると必中となるというマジナイ、魔術だ。

 

意図せず直感で魔術を行使する才能、血統なんだねえ。

夏子も鏑矢で場を清め、鯉や蛙を退けた。

魔女は血で飛ぶ、とキキは言ってたけど。優秀な魔女の一族だ。

 

そして父は全く魔の素養が無い。

妻と子を助けに行こうとしても、塔に入ることもできない、インコの兵を見ることもできない。

現世と異界、此岸と彼岸、この世とあの世、リアルとファンタジー、陽と陰、そして男と女。

男である父は、現世では強い。経済力も統率力も武力も持っている。

しかし、女の世界、異界、彼岸、陰なる世界を見ることも感じることもできない。

この世とあの世を行きつ戻りつする子どもの大冒険譚において、まるで門外漢なんだよなあ。

 

眞人と父では、土俵が違うから争わなくていい、ということか?うーん。いや。

 

眞人は、男の子だけど魔法を使う。

それは魔女の弟子であるハクとハウルを経たから造形できたキャラクターだよな。

誰に教わることもなく、必要な時に必要なだけの魔法を直感して行使できる、

本当の意味での優れた魔法使いになれたということ。

 

風立ちぬでは魔法でなく、科学の力だけで飛ぼうとして、結局落ちてしまった。

 

それでも、風立ちぬがあったから、

次郎の次のステップを担うキャラとして、

仕事があって嫁と結ばれて子ができて、

科学の力、現実的な成功、成熟した男性の力を持つ父を説得力をもって描けるようになったのかも。

しかし、この世の力を得たことで、あの世と親しむ力は失ってしまうっていうね…。

 

 

魔法と科学の対比でみれば、眞人と父という対比のキャラがどちらも男でありながら、しっかりそれを表現してるといえるし、

 

女性性の魔を示す母と、男性性の理を示す父と、

その中間にいて、どちらにも親しめる存在としての子ども、という構図をみてもいいな…。

 

父さんがくれた熱い想いと、母さんがくれたあの眼差し、のどちらをも受け継いでいる、未だ男でも女でもない中性としての子ども。

 

陰陽の冲和した、中庸

マイナスとプラスの止揚した、0

 

男神と女神の子であるから、

天と地の間に立つものであるから、

真なる人であり、眞人。

 

エモい。

 

 

 

あと、ヨモツヘグイも気になったな。

千と千尋でハクがくれた飴を口にして、千尋はあの世界に馴染む。

異界のものを口にすると、異界に属するものになるという、

これも古事記ギリシャ神話のやつだが。

あの、塔の中の世界で、キリコが二度「食べな」と言った食事を眞人が食べるシーンはない。

そっかそっかと思って見てたら、

ヒミのパン&チーズ&ジャムみたいなのは、えらい過剰なアクションで食べてたのは・・・

何で??

どゆこと??

あ、母子だから?

チーズは乳で赤いジャムは臍帯血ってか?

 

胎内で胎児は母体から栄養をもらう。

胎内の胎児というのはまだこの世の存在でなく、

羊水に満ちた水中の世界である胎内を、あの世と見做すことはある。

 

いやこれ真面目に考えると頭おかしくなるなw

臍の緒で繋がってるママからご飯もらうのは、ヨモツヘグイ的にセーフ判定だという詭弁を書こうとして無理だこれ。

単にもう一度ママのオッパイ飲みたいよ的な退行願望であり、その渇望を癒して産まれなおすの儀式のひとつでもあるとしておこう。

 

 

 

 

 

 

まだ眞人と父と夏子のことしか書いてないのに5000字近いのでいったん記事あげるか・・・。

 

アオサギ、ヒミ、インコ大王、大伯父様、そしてあのワンダーランドの暗喩する様々なものについて、まだまだトピックあり過ぎて怖いわ。

 

いっこだけツッコミ入れるなら、

 

塔のてっぺんで石とお話して世界創生・神様ごっこをしてた大おじ様は、

なんていうか、塔内世界がインコだらけになってる時点で、そのロジックがもうどっか根本的にバランス欠いててダメなんだろーなーって。

 

ペリカン一族は大おじ様によって塔内に遣わされて、ワラワラを食べてるというが、

悪意とか、なにか不都合な因子を持ってるワラワラを間引いてるということだろうか。

ただしこの世とあの世を併せた命の総量は変わらないから、ワラを間引いた分だけインコが増えちゃうみたいな。

生態系をいじくるとそういう予期せぬ不都合の連鎖になるのあるある。

 

 

そう、

新世界の神になって、僕が認めた優しく賢い人だけの世界を創ろうとしても。

その思想は漫画版ナウシカ墓所の主のようにどこか歪だ。

この世界は陰陽が釣り合うように、禍福が糾える縄のように、

清浄と汚濁と、光と闇とは、もとはひとつであり等量に比和して冲するようにできているから。

 

白い積み木の世界を、優しく賢くしたぶんだけ、

裏の世界が愚かで凶暴なインコで溢れてしまうんだろう。

 

悪意であれ何であれ、優生学のように気に入らないものを排していく世界は破綻する。

 

善悪も正邪も表裏一体で

あらゆるものがとめどなく移り変わって、

残酷で美しい混沌の世界しか、

存続し得ないことを識るしかない。

 

思い通りの小さな箱庭を作ろうとするのをやめ、

世界に心を開いて適者生存を試していくしかない。

全方位に広がる世界に自分が何を観るか、

それはただただ託されているのだ。

そこに自在がある。どう生きるかがある。

 

 

 

 

 

 

 

バッドエンドに至るしかない命題をぶちあげてる名シーン。好き。
眞人は自傷・嘘・タバコ盗み、諸々で己の内にも悪があると知っていたから間違えなかったんだな。

マジメな優等生のほうがタチが悪いこともあるし、ちょっと悪い子の方が堕落に免疫があることもある。

 

 

 

 

 

追記

 

ヒミは元の時間に帰るドアを開けて別れた。

千と千尋では、ハクと千尋はまたいつかきっと、という再会の希望あるエンドだったけど。

眞人はそもそも、母が生きてるという話を「嘘だろうが、確かめなくては」と塔に入った。

そもそも洋館でうたた寝のときの夢で「さよなら」と母は言っていた。

…つまり、母の死をやはり事実だったと確かめて、現実に帰ってきたのか〜。

それは、死者を想う心に決着をつけて帰ってくる葬送の物語ということだな。

 

え、夏子は父の妻で、母とは別れて帰ってきたとなると、実質ヒロイン不在か…。

まぁ、自分が子どもであるというポジションを認める流れだからな。そうか。

ヒロインいたらヒーローとしてやはり新しい男女としての門出が必要になっちゃうから、それはしゃーない。

だから今回は、傍らのアオサギが友達だと言ってくれるんだな。男の友情エンド。

ヴ王と道化、アシタカとジコ坊みたいに、ヒロインの存在が弱いと、王と道化のパターンが表れるのか。

 

 

 

 

女性性は水に親しむ属性なのに、火の魔女とはどういうことかと思ったけど、

燃え上がるような赤毛、の比喩がほんとに火の表現になったってことか。

ポニョやナウシカを越える赤毛の魔女の表現として、炎髪の魔女、とっってもカッコイイと思います。

 

 

 

 

ていうか、ガラスの棺で眠るヒミは白雪姫のオマージュだろうから、

王子様である眞人がキスして目覚める流れか?と思ったら、

宮崎駿のヒロインは、そういうの待たないでさっさと自力で目覚めちゃうっていうww

ですよねww

 

 

眞人が石を頭に打ち付けた自傷行為と、

煙草をくすねる手際のよさで、

どんだけ倫理感ヤバいメンヘラかと思ったが、

それ以降は割と?まとも?っていうかいつもどおりの宮崎駿的主人公だったな。

あ、折り畳みナイフを持ち歩いてるのは、あの時代の少年ならなんらおかしくないからノーカン。

 

頭から血が溢れるのはアレか。

白雪姫といえば、黒檀のように黒い髪、雪のように白い肌、そして血のように赤い唇、だからか。

少年だと唇が赤い絵面が足りないから、血糊がいるかなー的な?

 

しかし、宮崎駿キャラが自傷行為に及ぶとはな…。

そんな拗れた内面に理解があるとは驚いた。

海が聞こえるのヒロインみたいな、人を気を惹くために自分を傷つけるやりかた。

少年というより少女寄りな感性や内面を持ってると表現するためにそうしたのかな?

自傷と万引きと、あと毒殺とかは、まぁ女性のほうがやらかすっていうよね…。

男は力任せに、もっと単純な暴力に及ぶ犯罪傾向というか。

 

情緒不安定なメンヘラ気質もまた、女性性の負の側面として無視しないってことか。

今までずーっと神話的で夢見がちな女性賛美だったことを思うと、それも進歩だろうか。

 

 



迷路になってる庭園世界でインコの兵隊が押し寄せてきて現世に押し返される場面とか、アリスのトランプ兵が押し寄せてくるイメージっぽいんだよな。

ヒステリックで話の通じないハートの女王がインコ大王になってて、ここでも男女の配役が逆転になってる。

ハートの女王と鳥といえばフラミンゴのゴルフクラブを思い浮かべるが。インコかー。

 

 

となりのトトロでは、にやにや神出鬼没のチェシャ猫が猫バスで、

白兎(小トトロ)を追っかけて穴に落ち、不思議な国の夢を見てたのを姉が起こしてくれるメイがアリスでというオマージュだけど、

今回は不思議の国の内容部分にオマージュがある感じか。理不尽かつ尺が長いところもw

 

塔の中の世界は、ステージとしては。

千と千尋でいうと海原鉄道でサラっと流したあたりかな、

黒い人影がうろついていて、

「死んでるやつの方が多い」けど、そうじゃない人もいて、

殺生ができないのに、まだ食べるという行為を忘れてないくらい、となると。

 

彼らに魚を獲って飢えを癒やしてやっているキリコは、やってることがほぼ湯バーバだな。

湯バーバは、八百万の神様の疲れを癒すお湯屋を営んでいたわけで。

あの草生した巨船は油屋と似た機能をもってるんだな。

神ならぬ人の死者の慰めと、今回は更にこれから生まれる命を送りだしてもいた。

 

神々を祀り鎮める儀式や、

葬送や誕生、生死や人生の節目に行う儀式の専門家、現世と幽世の仲立ちをするものが、魔女で、シャーマンだ。

 

魔女キリコを師として、眞人がどんな力を身につけていたか。

煙の円の結界を張って、船を漕いで、魚を釣って捌いて、人形の守りのまじないを見て、世界の在り方を聞いて。

あとなんかあるかな~。2周目でよく見とこ。

 

しかし、師匠と弟子がマトモに交流してる構図も初めて見たのでは?

ユパ様とアスベルはエンディングでちょこっとだし、

ハウルマルクルを放置してるし。

まあ、師匠キャラが男性でなく、やっぱり魔女なのはご愛嬌だが、

それにしても、魔女の弟子ハクとハウルも、師である湯バーバやサリマンから師弟っぽくなにかを学んでる場面は無かったしなあ。

ゼニーバと千尋が一瞬それっぽくなくもなかったが。

キリコと眞人で初めてのまっとうな師弟関係かも。卒業することも含め。

 

 

 

…、ああ、とすると。

食べなかったから別れることができたのか。

キリコの勧める食べ物を食べていたら、眞人はシャーマンの後継者になっていたのかも。

あの世とこの世を行き来して仲立ちする者に。

 

しかし、眞人は母の食べ物を食べた。

母は、子をこの世に産み送りだすものだ。

だから、眞人はシャーマンにはならず、この世で生きる者として帰ってきた、と。

いずれ魔法を忘れる子どもとして。

まぁ、石の一欠片は持ってるけどな。

 

 

 

 

彼岸と此岸の間のグレーゾーン、海に至る前の、波打ち際の世界か。

 

冲に漂うたくさんの船は、紅の豚のたくさんの飛行機が空を渡る風景を思わせた。

死者の世界の暗喩だ。

 

あと海に木が乱立してるとこ、未来少年コナンの廃虚ビルが海面から乱立してる印象的なやつにそっくりでテンション上がったわ。あの絵の世界観すごく好きなんだよなあ~。

 

 

つか、支配者のとこへ単身特攻して優生学的な世界観をぶっ壊して、世界を正常な混沌へ回帰させた、という文脈でいうと、

インコ大王がやってることは、

墓所と世界再建計画を巨神兵ビームでぶっとばし、

世界を混沌にして生き残れるかどうか、生命のもつ力に賭けたナウシカと同じってことなんだね・・・。

 

ナウシカが男女反転するとインコ大王か~。ビジュアル格差よw

英雄で聖母だったナウシカの所業が、今度は愚者の振る舞いとして描かれたというのもなかなか味わい深い。

まあ、どっちでもいいのだ。賢愚はどうあれ正解へ至るならそれが最適の道だったことになる。

ていうか大王のあの芝居がかってコミカルな感じ、意外と憎めなくて好きw

 

 

 

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リプルーグル 地球儀 ウェザー・ウォッチ型 アンティーク 英語版 51403

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米津玄師が主題歌に起用されていたが、

怪獣の子供でも久石譲と米津玄師のタッグで、

あれもかなりテーマが似てるというか、

米津玄師の主題歌がとても胎内回帰や再生のテーマに沿ってて、

しかもバックに心音と同じテンポにビート鳴らしてるという凝りようですごく良かったんだよなあ~。


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