ものがたりを解釈する

アニメ、漫画、小説、神話、あらゆるものが語りかけてくること。最も深遠な、でも誰にでも開かれている秘密に、解釈というメソッドで触れていく。

ズートピアを解釈する。メンつよはフィジ強から。

 

 

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金曜ロードショーズートピア初めて見た。

おーもしろかった~!

 

これは完成度ヤバイな。

ふわっふわの毛並みの表現だけでも目に楽しいし、

わりと長くて二転三転するシナリオなんだけど、まったく飽きさせないテンポの良さというかスピード感?疾走感がすごい。

反復というか天丼が効いてる演出もしゅき。

冒頭の演劇シーン、ウサギのジュディが食べられちゃう演技をクライマックスのオチにしたりとか。

署長のミーティング場面とか、「詐欺師って呼んでくれる?」とか「氷漬けだ」とかとか。

すでに見た場面に意味が再付与されるの脳が気持ちいい~。

長い鑑賞時間と情報過多に耐えてるところにご褒美成分うめぇ~あざますってなる~。

 

 

草食肉食、大型小型、多種多様の動物が暮らす世界観は

人種、ジェンダー、社会的階層、ドラッグ、様々な社会的分断のメタファーを、まったく説教くさくなく視聴者に読み取らせてくれる。

 

多産のウサギは農民

ずる賢いキツネはその日暮らしの詐欺師

百獣の王ライオンは市長

 

動物のイメージがズートピアにおけるステレオタイプになってて、

非力なウサギが警官を夢見ても諦めろと諭され、努力して就任しても侮られて閑職にまわされ。

キツネは社会的信用が必要な職にはつかせてもらえない。

 

「誰でも何にでもなれる」という希望のスローガンは逆に種族差という圧倒的なハードルがあること、理想と現実のギャップを何回も提示してくる。

それは「自由・平等・民主」のスローガンのもと誰でもワンチャン成りあがれたアメリカンドリームが形骸化し、

貧乏人の子は貧乏人という階層の固定化、諦めムードをドラッグで紛らわしてやり過ごすという現代の空気を写しているんだろうな。

 

金持ちの子は親も高学歴で習い事も旅行も塾もと豊かな経験を与えられて賢くなりまた金持ちになりやすく・・・という風刺画。

 

 

ジュディに弟妹が270匹いるという絵面には童話的微笑ましさよりもなんか若干の違和感というか、

駅にある人口カウンターがカチカチと増加し続けてるという描写も、この映画がただ優しいだけの夢の世界でないことを示していそう。

捕食による淘汰圧のない世界で、多産のウサギがネズミ算式に増えてったら、食料問題や住環境がどうなってしまうんだぜ・・・?という疑問がチラつく。

種族による寿命差とか、肉食動物が何を主食にしてるのかも気になるところだが。

 

一見モフモフがいっぱいでディズニーランドのような楽しい世界の随所にシビアなリアルが盛り込まれている。

世界観だけでもほんとによく出来ていて惹きこまれるわ~。

 

闇深を描こうとすればなんぼでも描ける世界で、全年齢向けの明るさ楽しさを牽引しているのはウサギのジュディのつよつよメンタルだ。

「誰でも何にでも」という理想、憧れをそのまままっすぐに叶えようと努力を惜しまず、

嫌がらせや無理難題をおしつけられても拗ねたりいじけたりせずに良い結果を目指す。

世間知らずのお人好しにつけこまれて騙され落ち込んでも、次に会う時には騙し返してみせるほど、したたかで学習力応用力が高い。

 

ジュディが光属性を詰め込んだハイスペ主人公として活躍するのも楽しいし、

それに影響されてスレた小悪党だったキツネが頼れるバディに覚醒していくのも楽しい。

 

ところで、ディズニーといえばヴィラン(悪役)も見所なわけだが。

日本漫画アニメの敵が悲しい過去ありきで盗人にも三分の理があるというのがお約束なら、

ディズニーのヴィランはもっと単純にブッ飛ばして爽快かつ、罪悪感のないコミカルさを備えてるイメージがある。

 

ズートピアヴィランは、

高圧的で短絡的、厚い胸板を高級スーツで包んだいかにもなアルファ(群れの最上位)マチズモ(男性優位主義)の権化、なんぼ殴っても死ななそーなTheジャイアンって感じのライオンの市長・・・

 

というのがブラフで、

 

実のところはごく小柄でおどおどあわあわした女性、The被害者!のステレオタイプみたいなヒツジの副市長が真犯人だった。

 

副市長という肩書ながら、雑に小突かれてるわ書類の山を持たされてるわ執務室は物置同然だわで、かなり侮られ虐げられている描写がある。

大きすぎてズレるメガネをしているが、見かけに気がまわらない性格なんだろうなっていう。

それは女性としての示威意識に欠けるってことでもあって、

なんかもーいかにも地味でおとなしそうでナメられやすくて痴漢に遭いやすそうなタイプっていうかね・・・。

 

ヒツジの副市長は軽んじられることに恨みを募らせて悪事に手を染めるのだが。

 

ところでヒツジの彼女が、ウサギのジュディとほぼ変わらないサイズ感であることがふと気になった。

 

 

彼女は史上初のウサギ警官となったジュディに「あなたは小さな動物の誇りよ」と言うけど、

普通に考えて、ウサギは小型動物で、ヒツジは中型動物ではなかろうか。

なんでヒツジを小さくした?

 

ヴィランである彼女のサイズを、ヒーローであるジュディに合わせたってことかなあ。

 

そうすると、彼女たちは似ているというか、共通項が多いことに気がつく。

ウサギは子沢山の描写があり、ヒツジもズートピアにおいて選挙の票の多い動物だという。

数の多い動物、マジョリティであるという属性。

小柄で非力であること、女性であることもそう。

政治の現場も警察の現場も男の社会であり、そこに飛び込む先進的で仕事のデキる女であるということ。

そして彼女たちはそこで男社会の手厳しい洗礼を受ける。

 

そこで道が分かれた。

ジュディはあくまで挫けなかった。キツネの詐欺師とも、無理難題をいいつけた水牛署長ともすこしづつ良い関係を築けた。

 

ヒツジの副市長はライオン市長と良い関係を築けなかった。

悪口ジョークを言い合おうとしてマジギレされたという距離感のミスり具合はわかりみが深い。

そして彼女には転売ヤーのケチな詐欺師ではなく、ドラッグ関係のガチな裏社会住人が寄ってきてしまったのだろう。

 

 

ジュディと副市長、ヒーローとヴィランは背中合わせの紙一重の光と闇のやつだった。

 

ジュディも、署長のパワハラに耐えかね都会のドライさに心折れ親の理解のなさに反発して、

自分に報いてくれない社会への無差別な復讐に走るルートがあったかもしれないのだ。

 

してみると、ジュディと副市長の違いってなんなんだろうな・・・・。

 

 

 

 

 

メガネ・・・?

 

 

 

 

 

おっとメガネ民への偏見がw

いや確かに偏見、バイアスではあるけどもw

キャラクターのアイコンとしては頭脳偏重マジメ優等生ヒョロガリみたいなことであって、それも多少無くはない。

この絵文字はまさにnerd face というw

 

ジュディはメンタルもつよいが、身体能力も高い。

腕力はなくともパルクールは花丸満点だ。

というか、身体能力が高いってことはそれを制御する脳機能も優れてるってことで、

地頭の良さとか機転の利き具合とか自己肯定感の高さ、コミュ力や人を信じられる強さとも無関係ではない。

むしろジュディのメンつよの根拠は優れた身体にあるといってもいいのかも。

 

鬱には筋トレが効く、筋肉は裏切らない。というのは意外と至言ではある。

 

まあ、実は筋肉ダルマになっても動きづらくなるばかりなので、

その意味ではジュディのように自然環境を模したアスレチックで実用的な身体をつくっていくというのはとても推奨できる。

 

副市長の焦ってあわあわした動きというのは、肚が据わらない動き、気がのぼせてしまってる動きでもある。心の脆さがそのまま動作にあらわれている。

 

 

ズートピアは動物らしい動きをアニメに落とし込むのも巧みなもので、

イタチのスルスルニョロニョロ走る動きや、ウサギの足ダン、オオカミの遠吠え、カバやサイの重量感ある動作なんかもとても見応えがあるのだが、

そういう観察の優れたアニメーターたちが心理によって起きる動作を疎かにするはずもない。

 

副市長の動き方とジュディの動き方は、重心の位置から力の分配のスムーズさから、観れば観るほどまるで違うはずだ。

 

 

理想に向かって努力し、それが現実に圧し潰されてしまったとき。

 

キツネのニックは、偏見という現実に迎合することにした。

まっとうな職を諦め、狡猾なキツネにお似合いの詐欺師へと自分を貶めた。

 

ヒツジの副市長は、パワハラという現実に復讐することにした。

ドラッグを蔓延させて社会を分断し、パワーバランスの逆転を謀った。

 

ウサギのジュディのように、何度折れても立ち直り。

「世界をより良くしましょ」という青くも崇高な使命を抱き続けるには?

 

 

 

この物語には主人公の内省のターンがある。

ジュディは一度は夢破れて実家に帰るが、

それは必要なシチュエーションなのだ。

大都会ズートピアは自然いっぱいの理想郷に見えて、

砂漠エリアの外壁はヒーター、氷河エリアに降雪機、密林エリアにスプリンクラーと、膨大な電力を使って環境を改変維持している描写がある。

負荷、不自然、ストレスがある場所だ。

ジュディの住環境も壁の薄い激狭ワンルームで、食事はレトルトにんじん。

そんなことでは心の以前に、体のケアさえできない。

HPの回復ができず、手持ちの体力を使い切ったら詰む。

 

都会から田舎へ、人為から自然へ、

広々してストレスフリーなニンジン農場で、まるまる大きく実った野菜を食べ。

ちゃんと食べて寝て、走りまわって。身体から心を整える。

そうしてるといじめっこ狐に再会して和解できたように、自分を縛っている過去の思い込みを解放する機会が訪れる。

 

大事な人を傷つけ、自分を不幸にする価値観に囚われてしまっていることは、誰にでもある。

 

その古い鋳型に自分を当て嵌め、あるいは世界を変えようとしても、いつまでも苦しみは消えない。

 

自分の過去や記憶を辿り、心の痛みを癒し、新しい認識にアップデートするほうが本質的解決になる。

 

 

まずは、自分のケアをする時間をもつ。

森とか草原とか海とか自然が調和してるところに心身をチューニングしてリセットする。

社会を変えようとする前に、自分を変えるとこから始めるっていうのは、

きっとそういうところからだ。

 

 

ムーア:
 ジュディの旅の目的は、世界をより良い場所にすること。
 僕自身、若いころにこの業界や自分の世界をより良い場所にしたいと思っていたことを覚えている。僕が学んだレッスンで、劇中のジュディも学んだことがあるんだ。
 それは、世界をより良い場所にするための最善の方法は、自分自身を見つめるべきだということ。
 必ずしも外側を変えるのではなく、内側に目を向ける必要があるんだよ。ジュディは失敗して、自分自身を見つめなおし、できるだけ良い人間になろうとする……というより、できるだけ良いウサギになろうとするんだ(笑)。自分たち自身を最良の人にしようと努力する時、僕らは世界を変えられるんだと思うよ。それはとてもパワフルなメッセージだと思うな。

 

2人の監督が語る『ズートピア』の世界 〜現地レポート Part 1〜 | ROOMIE(ルーミー)

 

 

ズートピア、素晴らしい物語だった。

アメリカの子ども、いや世界中の子供に何度でも繰り返し観てほしいなあ。

こういう物語が潜在意識や深層心理に刷り込まれてると、挫折したときふと思い浮かんで道標になるんだよ。

 

 

 

 

 

体癖も気になっちゃうから書いとくと、

 

初志貫徹の意志がバリ強く、勘も思いきりも良く身体能力が高いジュディ・ホップスは9種体癖っぽい。お尻が大きいというか腰に力がある体格もそんな感じ。腰だめ姿勢で走るとジュディらしいポーズになるというか。

署長がクビだと言っても辞めないし、署長と市長がひきとめても辞めるし、親の諭しも聞かないし、マジで全然人の言うこと聞きゃしねー。

自分の直感した通りにしか生きられず、しかしそれでこそ輝くのが9種。自己責任上等。

血ドバーブシャーからグエー死んだーで聴衆が苦笑いになるやり過ぎ演技もな。

空気を読まずに自分の感性で突っ走り、自分に惹きつけるように空気を変える。スター気質。

 

 

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詐欺師ときくとそれだけで5種体癖な気がするwのでニック・ワイルドは暫定5種。

人間観察に優れ、威圧感が無く社交的、口が巧く抜け目なく脱法行為にもさして罪悪感なく金儲けができる。

捕まりそうになったピンチですぐ「もうダメだ!」とか諦めちゃう、見切りとか損切りみたいなことが早いとことか。

ジュディに失望した時、ただ去っていくあの感じ。

人間関係をスパッと切ったり、謝ってきたら拘りなく付き合いを再開したり、対応がドライというか合理的というか。感情のコスパのよさとでもいうか。

感情に制御が効いててあんまり取り乱さないのが5種の心な気がする。

しかし、だらっとした服装や猫背、マズルの長さとか外見や雰囲気はどっちかというと6種っぽい。

ワルな感じと優しさナイーブさの二面性で女性人気が高いとこもな。

しかし6種だったらピンチの時にはオオカミどもに突っ込んで「俺はいいからお前は逃げろ」みたいな自爆行動が典型的だろう。あそこで真っ先に諦めて抵抗をやめるのは5種だって。

 

 

高圧的でプライドが高く、格下に逆らわれるとマジギレするというライオンハート市長は7種体癖。

市長とか署長、組織のトップを好むのは7種か10種かというアタリをつけるが、10種だったらもっと鷹揚。

ただ7種の方が最終的に面倒見は良い。凶暴化した動物たちを見捨てるような気はほんとになかったんだと思う。アフターケアも任せてよし。

水牛のボゴ署長も7種だな。

上司を同じタイプにすることでジュディとヒツジ副市長の対比がより明確になるというテクニックすばらしい。

上半身が大きく腕や胸が厚い体格も同じ。やっぱキャラのデザイナーも性格と体格に関連があることは経験的に知ってるよな~。

ボゴ署長はジュディには激しいパワハラかますが、乗り越えると認めてくれる。

初手でマウントして、一戦交えることで絆を築こうとするのは7種のやりかただ。

ゾウ警官の誕生日を覚えていたり、子分認定すると情が厚いはず。

そして市長にチクられると前言を撤回したり、格上や目上には服従する傾向がある。

体育会系の脳筋。警察や消防、軍隊的な組織に向く気質だ。

 

 

 

ドーン・ベルウェザー、ヒツジ副市長はなんだろうな~。

低調の人の体癖はわかりにくいわ~。

メガネもあるし、あたふたと気がのぼせるのが不調の出方で、理想が通じなかったときの脆さと悪だくみの机上の空論ぶりは妄想体質の1種体癖かもしんない。

1種っぽいスラッと感はないけど。

頭のうえのモフモフは頭でっかちってことの表現かな?キャラの重心も上がって不安定な動きもやりやすくなるだろうし。

 

 

ライオン市長がヒツジ副市長を「クサイウェザー」という悪口のあだ名で呼んだとき、

彼女は「オナライオン市長」という悪口で応酬しようとしてブチギレられたらしいが、

これは7種と1種のあるある不仲パターン。

7種はヒエラルキー意識が強く上下関係にうるさい体育会系だ。格下にナメられたらきっちりシメねば示しがつかんと考える。

1種は人類皆平等公平対等、などといいつつ自意識のポジションは俯瞰の高い位置にあるので、ナチュラルに偉そう。

言われたら同じだけ言い返して何が悪い?としか思えない。

7種父親がいた1種体癖の子としてこの不仲の関係性はすごいわかるw

どっちが悪いとかじゃなく、感受性の相性が悪い方にでちゃうこともあるよね〜。

 

 

体癖 - Wikipedia



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